ストライプ、銀行振込機能を追加–バーチャル口座の活用で消込作業などを自動化

今回は「ストライプ、銀行振込機能を追加–バーチャル口座の活用で消込作業などを自動化」についてご紹介します。

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 企業をサポートする金融インフラストラクチャーを提供するStripeの日本法人であるストライプジャパンは4月14日、日本で要望の多かった銀行振込機能の提供開始を発表した。

 同社は3月、コンビニ決済機能を提供しており、銀行振込機能はそれに続くもの。コンビニ決済は対消費者ビジネス(BtoC)では主要な決済方法だが、対法人ビジネス(BtoB)では銀行振込だと共同代表取締役を務めるDaniel Heffernan氏は説明。国内BtoB市場の規模は、BtoC市場の10倍以上である335兆円とされている。そのビジネス取引の約96%は銀行振込が占めているという。

 銀行振込は認知度が高く、分かりやすい運用と手数料がかからないことからよく利用されており、特にSoftware as a Service(SaaS)企業に人気の決済手段だという。しかし、そこには“隠れたコスト”が存在するとHeffernan氏は指摘。「請求書の作成や事務作業」「手動の消込作業」「購入者ごとの支払い状況確認」「振込金額の過不足の調整」「請求書送信や督促といった顧客への連絡」「定期支払い受付に毎月発生する運用コスト」を例に挙げた。

 このような課題を銀行振込機能は、顧客への定期的な請求やインボイスを処理するサービス「Stripe Billing」と併用することで解決する。「請求書の自動作成のためのAPI提供」「自動消込機能」「通知機能(Webhook)を利用した支払状況の管理」「過不足金の翌月への繰越フローの構築」「自動処理による余計な連絡・事務作業の軽減」「定期支払の運用コスト削減」などにより、銀行振込に関わる隠れたコストの解消に貢献するという。

 仕組みとしては、購入者と販売者の間に三井住友銀行のバーチャル銀行口座が存在する。Stripeが各購入者にバーチャル銀行口座番号を発行。支払い発生時、振込人を容易に特定し、自動的に入出金明細と未払い請求書を照合できるため、手作業による入金消込作業にかかっていた時間や労力を軽減できる。振り込みのステータスは、ダッシュボードやアプリケーションプログラミングインターフェース(API)経由で確認可能となっている。

 三井住友銀行のバーチャル銀行口座は「こだわったところ」とHeffernan氏。日本のユーザー企業やその顧客が安心して使えるよう国内の銀行にしたかったという。また、Stripeは三井住友カードと8年近く提携していることもあり、三井住友銀行に決まったと同氏は説明する。

 初期費用・月額費用は無料。決済手数料は1.5%とStripeのカード決済手数料3.6%と比べて半分以下となっている。ただし、取扱高の大きな顧客の場合、相談に応じるという。返金手数料は250円。最短で週次にて4営業日前までに売り上げを指定の銀行口座に振り込む。

 銀行振込機能を利用することで、Stripe Billingに加えて、オンライン請求書を作成・送信する「Stripe Invoicing」、サブスクリプションやインボイスを開始する前に料金の見積もりを提示する「Quotes」、収益認識機能といったStripeの統合ソリューションとのシームレスな連携も可能になる。

 銀行振込機能の追加により、見積もりから収益認識まで全てのプロセスが単一のソリューションで完結できるようになるとの考えをHeffernan氏は述べた。

 Stripeは、従業員7000人以上で全世界に22のオフィスを持ち、そのうち7カ所に開発拠点を設けている。「世界中に開発拠点を設けるのは大切で、当社の主戦場である決済は国や地域によって大きく異なるためだ。それぞれの国や地域の事情に合わせた製品を開発するということで開発拠点を7カ所設けている」とストライプジャパン共同代表取締役の荒濤大介氏は説明する。東京はそのうちの1つで、銀行振込機能を日本特有の決済手段として開発したという。

 同社は、あらゆる規模のビジネスに対応した金融プラットフォームとして、ペイメントソリューションである「Stripe Payments」をはじめ、決算の最適化、収益オペレーション、ビジネスソリューションといった分野で製品をそれぞれ提供している。

 フィンテック分野での注目トレンドとして、「インターネット経済のグローバル化」「全ての資金がクラウドに移行」「金融サービスがプラットフォームの標準に」「仮想通貨がグローバルな価値交換と保管の上で重要に」「積極的な炭素除去がビジネスコストに」といった項目を荒濤氏は挙げた。

 このようなトレンドを念頭に置いて、Stripeは幾つかの取り組みを進めているという。そのうちの1つとして「Stripe Climate」を2020年に開始し、Stripeのサービスを利用して得た収益の一部を炭素除去技術に投資することを可能にしている。また、クリエイターエコノミーの市場規模が約11兆円との見方により、クリエイターの収益化サポートにも取り組んでいると荒濤氏は述べた。

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