楽天、データ分析基盤の刷新でグーグル・クラウドを採用
今回は「楽天、データ分析基盤の刷新でグーグル・クラウドを採用」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
グーグル・クラウド・ジャパンは、4月19~21日に年次イベント「Google Cloud Day: Digital ‘22 」をオンラインで開催している。初日の基調講演では同社幹部のほか、ユーザー企業なども登壇、楽天がデータ分析基盤の刷新におけるグーグル・クラウドの採用事例を発表した。
講演では、まず日本代表の平手智行氏が登壇。デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む日本企業が直面する5つの課題として、「自社のデータ活用の業界トップの水準であるかどうか」「変化へ迅速に対応できているのか」「データ活用にまつわるプライバシーやセキュリティへの対応」「従業員にとって最適な働き方の実現」「サステナビリティー(持続可能性)への取り組み」を提起し、これらに対する同社のソリューションを紹介した。
平手氏によれば、データ活用ができていると認識する日本企業は10%未満であり、諸外国に比べて低水準であるという。組織のリーダーはデータから得た知見を早く戦略に生かすことが重要だと説いた。これに同社は、即効性、汎用性などに優れるデータ活用ソリューションを業界別などさまざまな形で提供しているとアピールした。
変化への即応性では、ITインフラとアプリケーションの近代化が重要であり、これにはオープンでハイブリッド/マルチクラウドの同社のインフラが強みであるとする。プライバシーやセキュリティについても同社は今後5年で約1兆円規模を投じて安全性をより高めるとし、同社のクラウドサービスが「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」の認定を受けるなど、高信頼のIT基盤である点を強調した。
従業員にとって最適な働き方では、「Google Workplace」を中核とするセキュリティサービスを組み合わせたオンラインコラボレーションの環境がその実現に寄与するものだとし、サステナビリティーへの取り組みでは現在、2030年までに二酸化炭素の排出を伴わない電力を活用する「カーボンフリー」化を進めているなどと紹介した。
また、ゲストとして登壇したデジタル庁 デジタル大臣の牧島かれん氏が、デジタル庁の創設やガバメントクラウド、現在推進する「デジタル田園都市国家構想」の意義などを説明。Google Workplaceを導入しているLIXILの取締役 執行役専務 Chief People Officerを務めるJin Song Montesano氏も登壇。世界の多様な人材を抱える同社グループのコラボレーションにGoogle Workplaceを活用していることや、ローコード/ノーコード手法によって多様な業務アプリケーションを開発していること、さまざまなビジネスのデータを活用した新しい働き方の整備に取り組んでいることなどを紹介した。
楽天の取り組みについては、楽天グループ 執行役員 Cloud Platform Supervisory Department ディレクターを務めるRohit Dewan氏が説明し、基調講演後のメディア取材にも応じた。
楽天グループでは、膨大なさまざまデータを分析する基盤として米Teradataのデータウェアハウスを中核とした「Rakuten Data Platform」(通称SuperDB)を構築。ここでは70以上のサービスから収集するデータから2万以上のデータセットを用意しており、1000人以上のデータアナリストおよび事業部門や管理部門の担当者がデータ分析を行っている。従来は「SuperDB 1.0」としてオンプレミスで運用してきた。
Dewan氏によれば、データの種類や量などが増え続ける中で、円滑に分析処理するためのリソースがひっ迫するようになった。「(分析するデータ量などが)毎週1%ペースで増大し、年間で数十%もの増強が必要になった。データサイエンティストが日々膨大なデータを分析しており、オンプレミスではもはや限界だった」という。
さらには、各担当者が自前に用意したデータで独自に分析を行う「シャドーアナリティクス」も横行し、データのガバナンスやライフサイクル管理などの観点からも課題になっていた。「各人が独自のスプレッドシートでデータをアップロードし、収益などのさまざまな観点で分析を実行していた。それが正しいプロセスに基づいて行われているのかなど、データの可視性も失われてしまう問題が生じていた」と話す。
このため2021年2月からGoogle Cloudの「BigQuery」を中核とする新たなデータ分析基盤「SuperDB 2.0」への移行を進めており、2022年10~12月期に稼働を予定する。Dewan氏は、オンプレミスのデータ分析環境で培ったノウハウを生かしつつ、柔軟性や拡張性、「楽天スーパーSALE」のようなイベント時にも対応できる弾力性の観点からクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの構成を選択、オープンな技術やデータ分析ソリューションの採用実績、豊富なサポートの点でGoogle Cloudを採用したと説明する。
「SuperDB 2.0では、誰もがどこからでも安全かつスムーズにデータへアクセスし、必要な分析を円滑に実行できることを目標にしている。Google Cloudが用意する移行ツールなどを利用して、ほぼ問題なく移行を進められている。標準化されたプロセスに基づいてデータを正しく理解できるようにし、ガバナンスも担保していく」(Dewan氏)
2022年4月時点で移行作業は順調に推移し、9月末にはほぼ全ての作業を終える見込みという。Dewan氏は、「これまでのところGoogle Cloudを組み合わせたSuperDB 2.0に対する評価はおおむね良い。特に性能面は3倍の向上を見込んでおり、総所有コスト(TCO)については当初に比べて、さらに10%低く抑えることができる」と語った。