DeepL、企業向け文章作成支援ツール「DeepL Write Pro」提供–独自LLMを採用
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機械翻訳サービス「DeepL翻訳」を提供するDeepLは4月25日、「DeepL Write Pro」を発表した。同サービスは、DeepLとして初めて自社独自の大規模言語モデル(LLM)を採用する。
DeepL Write Proは、従来の「DeepL Write」に対し、エンタープライズ向けのAIライティングアシスタントと位置付けられ、英語やドイツ語で書かれた文の作成をサポートする。テキストを自動生成する一般的な生成AIツールやルールベースの文章校正ツールとは異なり、AIをリアルタイムに活用することで適切な言葉の選択・言い回し・文体・語調を提案して文章を推敲(すいこう)することで、下書き作成の段階から執筆者を創造的に支援するという。
この独自のアプローチにより、ユーザーとAIの間に創造的な相乗効果を生み出し、執筆者の真の意図を汲み取りながら文章に反映し、「頭の中にある『こういったことを書きたい』という気持ちを実際に表現してくれる」とDeepLの創業者で最高経営責任者(CEO)のJaroslaw(Jarek)Kutylowski氏は述べる。
文の執筆に使用する言語の習熟度に関係なく、執筆者の言語コミュニケーションを洗練させ、状況を限定することなくいかなる相手に対しても適切な言葉を見つけることができるのがDeepL Write Proの強みだとDeepLはアピールする。
DeepL Write Proは、DeepL独自のLLMを搭載した同社初の製品。DeepL翻訳で用いられているニューラルネットワーク技術と組み合わされており、それにより速度と品質が保証されているという。同社はNVIDIAとの提携を発表しており、DeepLのスーパーコンピューター「DeepL Mercury」には68台の「NVIDIA DGX H100」システムで構成された「DGX SuperPOD」が導入されており、この規模の商業展開は欧州初だという。世界34位の速度を持つ同スーパーコンピューターは、スウェーデンにある再生可能エネルギーで駆動するグリーンデータセンターに設置されている。
Kutylowski氏は、ビジネスにとって言語は重要とし、ライティングの不備が企業に与えるコストは年間数十億ドルと指摘。製品やサービスをグローバルで展開したくても、文が正しく書かれていなければ適切なコミュニケーションができず、売ることができない。グローバル企業の社内でのやりとりを考えても、非効率なコミュニケーションは生産性と仕事への満足度に影響する。DeepL Write Proは、DeepL翻訳と同じように「言語の障壁を取り払う」ことを目的としている。そして、AIの力よって従業員を支援し、業績向上に貢献したいという。
そのためにも、DeepL Write Proは、企業での利用に向けて、エンタープライズグレードのセキュリティを保証するとKutylowski氏。TLS暗号化やテキスト削除など、企業顧客向けに特化した高度なセキュリティ機能により最大限のデータセキュリティを提供するという。データはDeepLのAIを訓練するために使用されることはなく、第三者に転送されることもない。このことは、金融業界や法律業界といった最も規制の厳しい分野からも認められていると同氏はアピールする。
DeepL Writeの利用は、ドイツに続いて日本で多く、この傾向はDeepL翻訳と同様だという。日本企業が同社の技術を信頼してくれることの証だとKutylowski氏はいう。DeepLの投資収益率(ROI)は345%というForrester Consultingに委託して実施した調査の結果を引用し、言語AIへの投資は、グローバルのいかなる企業にとって非常に戦略的な投資になっていると指摘する。
DeepLは、コミュニケーション面で一気通貫のソリューションを提供していくとし、DeepL翻訳を中核に据えながらも、提供する製品の幅をより幅広くしていくという。DeepL翻訳の品質を音声の領域にまで広げるとKutylowski氏はいい、音声翻訳が近いうちに使えるようになるとした。
「当社は、このような言語AIプラットフォームを現代の企業を念頭に置いて構築している」とKutylowski氏は述べ、「DeepL Writeが皆さんや皆さんの会社に役立つ製品であることを願っている」と続けた。
DeepL Write ProはDeepL翻訳の有償プランに有償で追加が可能。DeepL Writeは今後も無料サービスとして利用できる。エンタープライズ向けのDeepL Write Proを使うことで、企業は、セキュリティが保証され、LLMを使うことにより向上した機能を追加できることになる。