「年220%の成長を目指す」–Delphixが国内の事業戦略を発表
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Delphix Softwareは4月20日、アプリケーション開発基盤とテストデータの管理運用に関する調査結果を発表した。併せて、国内の事業戦略も明らかにした。
Delphixは2008年に米国で創業後、2015年に日本法人を設立した。同社マーケティング&市場開拓ディレクターの若色亨昌氏によると、同社は「データベース仮想化、テストデータ管理(TDM)、セキュリティ(マスキング)などのソリューションを提供」し、「アプリケーション開発の加速と組織のデジタル変革(DX)を推進」するという。
同社の主力製品は「Delphix DevOps Data Platform」である。データソースを仮想化して統合する「Delphix Continuous Data」と、データプライバシーの保護のため、機密情報を自動的に特定/秘匿する「Delphix Continuous Compliance」の機能を備える。
次に若色氏は、テストデータ管理に関する国内の市場調査について説明した。同調査は国内ユーザー企業(従業員1000人以上)の役職者を対象とし、2021年9~11月にインターネットで実施した。有効回答数は101件。
回答者の属性を見ると、1000億円以上の企業が67%、5000人以上の企業が52%だった。このことから若色氏は、現状でテストデータ管理に取り組んでいるのはエンタープライズ企業が中心だと分析した。
システム基盤については、72%が「メインフレームやオープン系のシステム中心、あるいは混在環境」と回答しており、「クラウド中心」は12%にとどまった。なお、クラウド中心と回答した企業を除外した72%の回答者に「クラウド移行の予定」を聞いたところ、システム基盤のクラウド移行を「考えている」とする回答が30%、「考えていない」が11%、「未定」が59%だった。エンタープライズ規模の企業ではクラウド移行にあまり積極的ではないことがうかがえる。
一方で、クラウドネイティブなアプリケーションの開発手法として注目される「アジャイル」や「継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)」に関しては、「取り組んでいる」が19%、「取り組む予定」が21%だった。合計で40%がポジティブな姿勢を示しており、クラウド移行を考えている企業を上回る比率となっている点が興味深い。
さらに、テストデータの準備やテストデータのマスキング(秘匿)処理については手作業で実施されているとの回答が多く見られ、テストデータを準備に費用や工数がかかっている現状が浮かび上がった。こうした状況を踏まえて、若色氏は「現代ビジネスを支えているコアコンピテンシーがソフトウェア開発であるにもかかわらず、世界第2位のIT市場である日本企業のプロセスは大幅に遅れていて、改善の余地がある」と指摘した。
続いて、同社カントリーマネージャーのRobert Stevenson氏は、日本企業にとっての最大の課題は「ソフトウェアの開発スピードをどう向上させるか」だと話す。具体例として、「Amazon Web Services(AWS)では毎日7~8回のソフトウェアリリースを行い、競合がついていけないペースで顧客満足度を充実させている」とする一方で、日本企業はウォーターフォール型やアウトソーシング型が主流で開発のペースが遅いことを指摘。
そうした状況を踏まえ、同氏は「調査データでは日本のDevOps実践企業は35.7%でまだこれからという段階だが、シフトライト(Shift Right)やDevOps、CI/CDといったグローバルのベストプラクティスを取り入れなければ、AWSのような企業の開発ペースについていけない」と語った。
またStevenson氏は、「戦後日本の製造業を奇跡的に成長させた」人物として品質管理の分野で著名なEdwards Deming博士の名前を挙げ、「ソフトウェア開発のスピードを上げる/ソフトウェア開発のコストを削減するのはもちろん、ソフトウェア開発の品質そのものを『カイゼン』のプロセスで向上させていかなくてはならない」と語り、かつての製造業の改善運動や品質管理(QC)活動に匹敵するような真剣な取り組みが求められていると強調した。
国内の事業戦略については、2023年度からの「3カ年計画」として「日本を独立リージョンとして設定する」「毎年グローバルの成長率を超える」「年220%の成長を目指す」の3つを目標に掲げた。ちなみに、前年比2.2倍の成長を3年間繰り返すと約10倍となることから、2026年には現在の10倍の規模に成長するという野心的な目標となっている。
テストデータ管理が重要であり、かつ現在の日本企業の取り組みが遅れており、効率性やセキュリティの面で課題を抱えていることは間違いない。だが、ソフトウェア開発のための準備段階に当たるやや地味な分野であることも否定しがたい。3年で事業規模を10倍にするという目標が達成できるのかどうか、今後の市場展開を見守りたい。