セールスフォースが開発者イベント、MuleSoftやSlack、Tableauと統合強化
今回は「セールスフォースが開発者イベント、MuleSoftやSlack、Tableauと統合強化」についてご紹介します。
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Salesforceは米国時間4月27~28日、サンフランシスコで開発者向けイベント「TrailblazerDX 2022(TDX)」を開催する。今回は「One Salesforce」として同社が傘下に収めるMuleSoft、Slack、Tableauも加わるという点で初になる。開催前日のプレス向けオンライン説明会で、共同創業者兼最高技術責任者(CTO)のParker Harris氏は、「業務ソフトウェアはユーザーがアクションを行う必要がないものになる」と、同社が目指す方向性を示した。
TDXは、Salesforceが「Trailblazer」とする開発者向けの年次イベント。これまでは「TrailheaDX」という名称だったが、2022年からTrailblazerDXとなった。Harris氏は、「Salesforce、MuleSoft、Slack、Tableauが結集されたコミュニティーであり、100カ国以上、1600万人以上のTrailblazerがいる」とその規模を強調した。
Salesforceは、MuleSoftを2018年、Tableauを2019年、Slackを2021年にそれぞれ買収しており、Salesforceプラットフォームとの連携を強めてきた。開発側で連携を強める背景には、自動化やローコード/ノーコードなどの技術トレンドと、Salesforceファミリーの相乗効果により業務アプリケーションを使いやすいものにしていくという狙いがありそうだ。
「業務ソフトウェアは、ユーザーが積極的にログインしたり、アクティベーションをしたりするものから、自動化により必要な時に機能が利用できるものになるとSalesforceは考えている」とHarris氏。そこで自動化が鍵を握るとする。「自動化とは、オーケストレーションをするもので、意思決定、承認など人間の感覚が必要な時に人を呼び出すことになる」と、Harris氏は続けた。
また、Mulesoftの調査で企業の93%がスキルのある開発者の維持に苦労しているといい、新しいスキルやリスキル、コロナ禍が加速させた働き方改革で求められる「デジタルHQ」(デジタル本社機能)など、企業と開発者を取り巻くトレンドも挙げた。そこで、開発者プロファイル「Trailblazer.me」では、Salesforceエコシステム向けの信頼できる履歴書(レジュメ)としてスキルや専門知識を示すことができるなどの機能を加えた。
数々の発表の中心となるのは、Salesforceの「Salesforce Customer 360」プラットフォームと自動化機能の「Salesforce Flow」だ。
Salesforce Platform担当ゼネラルマネージャ兼エグゼクティブバイスプレジデントのPatrick Stokes氏によると、Salesforce Platformは毎月1兆回の自動化が利用されているとのこと。「事業価値に換算すると2兆ドルを顧客にもたらしている」とStokes氏。パートナー各社からは、すぐに使えるワークフロー、ボット、RPA(ソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化)ソリューションが900種以上提供されているという。
Salesforce Flowそのものでは、「Flow Orchestration」として、複雑で部門をまたがるようなマルチステップのプロセスを自動化できる機能を紹介した。
また、Salesforce FlowとSlack、MuleSoft、Tableauとの連携も強化した。
Slackでは、「Flow in Slack」として、ミドルウェアを介することなくSlackとSalesforce Flowを直接接続できる機能を発表した。Slack上のアクションをSalesforce Flowの対象にできるようになる。Slack 最高製品責任者のTamar Yehoshua氏は、「Salesforceでワークフローを作成し、Slackでチャネルを作ることができる。例えば、案件のステータスが変更したらSlackのチャネルでコラボレーションをするなどのことが可能になる」と説明した。
プロコードソリューションとして、Salesforceのスクリプト言語「Apex」を利用できる「Apex SDK for Slack」も発表した。
MuleSoftでは、ノーコード統合プラットフォームの「Composer」とSalesforce Flowの統合を進めたほか、RPAソリューションとネイティブに統合した「Flow RPA」も発表した。前者はノーコードで共通システムとの統合を自動化でき、後者はRPAを使って、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)がないものも含めて複数のシステムにまたがるワークフローを自動化できるという。
また、開発者がAPIを生成してVisual Studio Code上で構築したユーザー体験を統合する統合開発環境(IDE)の「Anypoint Code Builder」も発表した。
MuleSoft 最高製品責任者のShaun Clowes氏は、「MuleSoftのビジョンは、APIのための完全なライフサイクル管理を実現すること。任意の環境にある任意の技術スタックでAPIを作成し、実装できるようにする」と述べた。
Tableauでは、ダッシュボードから直接Salesforce Flowのワークフローをローンチできる「Tableau Actions with Salesforce Actions」を発表した。
この他に、データの収集部分で開発者がウェブアプリケーションに接続するコネクター「Web Data Connector 3.0」、Tableauアナリティクスを組み込む部分で「Embedding API v3」「Embeddable Web Authoring」なども発表した。
Tableau 最高製品責任者のFrancois Ajenstat氏は、「開発者がアプリケーションにアナリティクスを組み込むのを容易にする。これにより、データの持つ価値を解き放ち、洞察からアクションにつなげるループを完成する自動化を加速させる」と方向性を語った。