F1チームの戦略や効率化支える–デジタルツインなどテクノロジーの活躍
今回は「F1チームの戦略や効率化支える–デジタルツインなどテクノロジーの活躍」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今シーズンのF1では、各チームの予算の上限が、1億4500万ドル(約185億円)から1億4000万ドル(約180億円)に引き下げられた。使える予算が減ったことで、各チームはこれまで以上にコストパフォーマンスとリソース管理を重視せざるを得なくなっている。それに加えて、F1チームが使っている技術の重要性がこれまでのシーズンに以上に高まっている。
予算上限に対するアプローチはチームによって異なっているが、この記事では、各F1チームが、工場からトラック上までのさまざまな場面で、技術を活用してどのように経費を削減したり、戦略を強化しているかを紹介していきたい。
AlphaTauriのエンジニアは、Epicor SoftwareのERPシステムである「Kinetic」を使ってパーツの製造データの分析やシミュレーションの作成を行い、必要とする材料の量を最小限に抑えようとしている。同チームは、データ管理ベンダーのソリューションを使用することで、自動的にレーシングカー全体の模式的構造やデジタルツインを作成することができると述べている。
AlphaTauriのエンジニアであるGiovanni Cattarina氏によれば、基本的に、マシンの各パーツの性能がレースのさまざまなセクターでスナップショットとして記録されているという。AlphaTauriは、こうした全体像を示すデータを利用できるようにすることで、部品の過剰発注や材料の無駄遣いなどの想定外の費用が発生することを防ごうとしている。
Cattarina氏は、「AlphaTauriは、各パーツの製造に使われている機械や、オペレーターや、ツールを詳細に把握しており、このことが、自分たちでパーツを作るか購入するかを判断するための費用分析モデルを開発したり、あらゆる生産上の問題をマシンがトラック上に出る前に素早く修正したりするのに役立っている」と述べている。
こうした情報の把握が重要であることを示す格好の例が、カーボンファイバーだ。F1チームは、常にカーボンファイバーの在庫量や、その品質やライフサイクル、リアルタイムの消費量を正確に把握している必要がある。これは不必要な過剰発注を避けるためで、予算に制約がある状況では、このことがますます重要になる。
また、こうした情報が手元にあれば、最近終わったレースを分析する際に、マシンのどのパーツの性能が期待を下回っていたかをすぐに特定できる。
Epicor Softwareのオーストラリアやニュージーランドを担当するリージョナルバイスプレジデントGreg O’Loan氏は、「Giovanniとチームにとっては、実環境でレース中にマシンの再設計や再エンジニアリングを行う際に情報を利用できることの方が重要だ。レースデーに起きた変化にチームが適応する時間を削減できる可能性がある。ミリ秒単位の性能を向上させる上で重要になる」と述べている。