安価・高速・安全のクラウドストレージに注力–Wasabiのキング副社長
今回は「安価・高速・安全のクラウドストレージに注力–Wasabiのキング副社長」についてご紹介します。
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クラウドストレージサービスを手掛ける米Wasabi Technologiesは、6月9日付でバイスプレジデント兼アジア太平洋・日本(以下APAC)地域担当ジェネラルマネージャーに、日本で25年以上のビジネス経験を持つMichael King氏を起用した。同氏にAPAC市場でのビジネス計画などを尋ねた。
2015年創業の同社は、米国ボストンに本社を構え、高頻度アクセスを伴うホットデータ向けのクラウドストレージサービスを提供する。利用企業は3万5000社を超え、世界で13リージョンのデータセンターを展開。2021年6月にAPAC地域本社を日本で開設し、同年中に東京および大阪の2リージョンからサービス提供を開始した。
King氏は、BorlandやAutodesk、シトリックス・システムズ・ジャパン、SAS Institute Japanなどで要職を歴任し、直近は楽天グループのEコマース事業CIO(最高情報責任者)や楽天コミュニケーションズのCRO(最高収益責任者)を経験。Wasabiへの参画については、「楽天グループでの事業を通じて、改めてデータビジネスの重要性を認識していた。データによってデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援しようとするWasabiのAPACでのビジネス成長を担うべく参画を決めた」と述べる。
同社がアピールするのは、Amazon Web Services(AWS)のクラウドストレージ「Amazon S3」と互換性がありながら、サービス利用料が5分の1という点になる。互換性は、「Microsoft Azure Blob」や「Google Cloud Platform Storage」とも確保しているとのこと。APIリクエストの料金も無償とする一方、高スループットのデータ入出力性能や、ほぼ100%に近いというデータ保持、ランサムウェア対策としても注目される改ざん耐性の高いイミュータブル(不変)ストレージ機能なども特徴だとする。
このように「安価・高速・安全」をうたうが、その理由をKing氏は、現在のストレージサービスが抱える課題に対応するためと述べる。「DXでデータの価値とボリューム、コストが増しており、(長期的な利用で)費用のかかるクラウドよりもオンプレミスのストレージが選ばれている。他方でランサムウェア攻撃による事業継続のリスクが高まっている。Wasabiがクラウドストレージに専念し、多様なパートナーのエコシステムでこれらの課題に対応する体制としている」(同氏)
Wasabiのストレージサービスを組み合わせてソリューションを展開する技術パートナーは、バックアップソフトベンダーやストレージアプライアンスメーカー、マネージドサービス事業者(MSP)を中心に350社を超える。また、販売パートナーは世界で数千社を数えるという。
社名の「Wasabi」は、ホットデータの“Hot(=熱いが転じて辛い)”になぞらえ、日本のワサビから命名した。King氏は、同社がAPACの拠点を日本に置き、自身も四半世紀近く日本を中心にキャリアを重ねてきたこともあって、今回の役割にはひときわ想いが強いそうだ。
同社は日本進出後、NTTコミュニケーションズやダイワボウ情報システム、ネットワールドおよびMSP5社と、相次いで協業をスタートさせた。2022年5月にはオーストラリアのシドニー、6月にはシンガポールでそれぞれサービス提供リージョンを追加しており、日本を中心としたAPAC市場への投資を加速させている。
現在のユーザーの主な利用目的は、さまざまなホットデータの格納、データのバックアップおよびリカバリー、アーカイブという。まだ割合は小さいが、DX関連でIoTデバイスのデータの蓄積、人工知能(AI)および機械学習(ML)での処理用途、ユニークなものでは監視カメラの映像データの保存も増えてきているという。
今後の方針についてKing氏は、まずAPAC市場で中心のユースケースへ着実に対応していくためのパートナーエコシステムの強化・拡充を推進していく。日本については、7月中にも新しいカントリマネージャー(日本法人代表)を起用し、早期にパートナー規模を100社の大台に乗せたいとする。IoTやAI/MLなどの新しいユースケースへの対応も利用状況を鑑みながらパートナーエコシステムを整備していくほか、将来は日本企業の海外進出の支援、スポーツイベントをはじめとするスポンサー活動も構想している。
「データとストレージにまつわる優れたコストパフォーマンスを実現し、顧客の投資効果を最大化させることがWasabiの使命」になるとKing氏。ちなみに、急激に進行する昨今の円安ドル高を踏まえて米国発のITサービスの価格変動が気になるところ。King氏に価格の方針を尋ねると、「今後も日本の顧客からの期待に応えるべく、価格の変更は“No”と断言しよう」と答えた。