CO2削減の余地は社内データの可視化にあり–脱炭素で通勤・出張にも変化
今回は「CO2削減の余地は社内データの可視化にあり–脱炭素で通勤・出張にも変化」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ、企業のサステナビリティー戦略を支えるデータ活用等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
持続可能な社会づくりに大きく影響を与えるのが温室効果ガスです。前回挙げたように、地球温暖化が進めば、海面の上昇をはじめ異常気象の頻度や規模の拡大など、さまざまな深刻な事態が起こると懸念されています。地球温暖化を食い止めるためには温室効果ガスの排出量をできるだけ抑えていく必要があります。
しかし、温室効果ガスは目に見えませんから、個人や組織のレベルで排出量を容易に実感できるようなものではありません。それぞれの行動変容を促していくには、温室効果ガス排出量の可視化が重要になります。
そこでデータ分析が有効になります。各種データを分析することで温室効果ガス排出量を測定、追跡できて、組織の意思決定の改善につなげていくことができるのです。
現在、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)排出量の算出に役立つ各種データセットが一般公開されています。また、こうしたデータを統合するツールやプラットフォームがあります。そこに各種の因子を通じて、組織のCO2排出量を算出していくことができます。サプライチェーン(供給網)における輸送、従業員の通勤や出張におけるCO2排出量などが一例です。こうした場面でCO2排出量を可視化できれば、組織はより環境に配慮した意思決定ができるようになります。
昨今ではCO2排出量を算出するツールが多数登場するようになりました。ただし、それぞれがサイロ化、細分化されているものがほとんどです。あるいは点と点が散在している状態とも言えるでしょう。点をつなぎ合わせることで、全体を俯瞰できるようになります。
事例を幾つか紹介しましょう。Deloitte Belgiumでは2021年までにCO2排出量の25%削減を目標に掲げていました。削減対象としたのは、従業員の通勤や出張におけるCO2排出量です。この取り組みでは同社が開発した従業員向けスマートフォンアプリが活躍しました。
アプリでは個人がどれだけCO2を排出しているかを管理、追跡できるようになっています。例えば、通勤で使う交通手段を入力すると、どれくらいCO2を排出するかが算出されて可視化されます。これで自分の選択がどれだけ温室効果ガスの排出に影響を与えるのかが分かるようになるのです。またアプリには、公共交通機関を使う場合に(駅などの)駐車場を利用できる機能も盛り込まれており、従業員はCO2排出量をより少なくする交通手段を選ぶようになりました。環境に配慮した自動車に買い換える従業員も増えました。
企業からすると、従業員の通勤でどれだけ温室効果ガスを排出しているかを把握できるようになり、またこの取り組みの効果測定も可能となりました。この取り組みは、どのような企業でも実現できるもので、身近な行動変容からCO2排出量の削減に寄与する先駆的な事例といえるでしょう。