「サブスクリプションビジネスはコロナ禍でも成長」–ZuoraのツォCEO

今回は「「サブスクリプションビジネスはコロナ禍でも成長」–ZuoraのツォCEO」についてご紹介します。

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 「サブスクリプションビジネスはコロナ禍でも成長を続けている」。こう語るのは、サブスクリプション(定額・定期)型のビジネスに特化した管理基盤をSaaSで提供するZuoraの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のTien Tzuo氏だ。

 同社は2007年に創業の米国企業で、サブスクリプションビジネスの上流から下流までの業務プロセスを1つのプラットフォームで提供する。全く新しいビジネスモデルとして「サブスクリプションエコノミー」を提唱し、今後はあらゆる規模の企業がサブスクリプション型の幅広いサービスを提供し、製品ではなくサービスの提供を重視するようになるという。サブスクリプション型のサービスといえば、「SalesforceやUber Technologies、Netflixなどを思い浮かべる人が多いだろう」(Tzuo氏)

 同氏はまた、コロナ禍でサブスクリプションビジネスが加速したと語る。例えば、同社の調べによると、サブスクリプションサービスの解約率(チャーンレート)は、2021年は2020年と比べて14%減で、2022年はさらに低くなる見込みだ。「サブスクリプションサービスは恒久的なものであり、コロナ禍後も変わらないと考えている」

 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢、燃料・原料の不足問題など、世界の先行きが不透明な中でも、サブスクリプションは非常に回復力があるビジネスモデルであることが認識されるようになってきた。

 その理由について、Tzuo氏は「リカーリング」と「チャーンレート」の2つを挙げる。リカーリングとは「繰り返し」「循環」といった意味で、「継続的な利益を生み出す収益モデル」である。従来、小売業などであれば来店客数などに売り上げが左右されるため、将来の収益予測を立てにくかったが、リカーリング型のビジネスであれば、サービスの利用者数に応じて事前に売り上げの予測が立てられるようになり、経営の計画を立てやすくなる。

 次に重要な指標となるのがチャーンレートである。Tzuo氏は「われわれが考えているよりも、サービスの解約に至るまで期間があることが分かった」と話す。これはサブスクリプションサービスが人々の生活に根ざしているためである。「移動ならUber、フードデリバリーならDoorDash、ショッピングならAmazonがすぐに思い浮かぶだろう」(同氏)

 また、サブスクリプションの支払いに慣れているユーザーは、一つ一つの料金がそれほど高くないこともあり、いったんサービスを使わなくなっても、またいつ使うか分からないから「とりあえず継続しておこう」となる傾向があるという。

 サブスクリプションビジネスは現在、SaaSを提供するIT企業をはじめ、フードデリバリー、IoTサービス、小売り、金融、エネルギーなどの業界で特に成長が顕著であるとTzuo氏は話す。

 日本の状況については、「国内製造業は製品を売るという意味でこれまで大きな成功を収めてきた。これからは、あらゆる製品がネットにつながる時代になり、デジタルサービスを使った新たな収益源が生まれるはず。しかし、デジタルサービスを提供するには、従来の製品開発とは全く異なるスキルセットが求められる」と指摘する。

 Zuoraでは、企業のサブスクリプションビジネスを成功へと導く「Journey to Usership」というフレームワークを提唱している。これは、プロダクトを所有するオーナーシップ型から、サービスを利用するユーザーシップ型へと企業のビジネスモデルを変革しようというものだ。

 Journey to Usershipには、「Launch(立ち上げ)」「Optimize(最適化)」「Scale(拡張)」「Lead(リード)」という4つのフェーズがある。「Launch」では最初のデジタルサービスを作るという段階で、そこから価格パッケージの微調整などを始めるOptimizeの段階を経て、ユーザーの拡大などを図るScaleの段階に進む。そして、企業が一定のサブスクリプション利用者を抱えるようになると、そのエコシステムに参画してビジネスをしたいというニーズが生まれる。これが「Lead」の段階である。「AmazonやApple、Googleをイメージしてもらうと分かりやすい」とTzuo氏は話す。

 Zuoraは、世界各国にストラテジーグループを有しており、フェーズごとにワークショップを開催したり、プロジェクトを立ち上げたりして、顧客のサブスクリプションビジネスの構築を支援している。「Journey to Usershipの段階を慌てて進めるのではなく、じっくりと時間をかけて成熟させていくことが重要になる」(同氏)

 最後に、Tzuo氏はZuoraの製品戦略について明らかにした。同社は現在、複数の製品を提供しており、創業当時から提供してきたサブスクリプションの見積り、契約、課金・請求、分析を行う管理機能「Zuora Billing」に加えて、回収機能「Zuora Collect」、収益認識機能「Zuora Revenue」へとラインアップを拡大してきた。米国では、Zuora Revenueが一番伸びている製品になるという。そして、これら3つの機能をつなぐプラットフォームが「Zuora Central Platform」になる。「全てを一つのアプリスイートで提供するのがZuoraの強みだ」と同氏は強調した。

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