富士フイルムホールディングスが実行中の3つのDX

今回は「富士フイルムホールディングスが実行中の3つのDX」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 富士フイルムホールディングスは、同社グループにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略について説明した。

 同社は、「製品・サービスDX」「業務DX」「人材DX」の3つのDXを推進する。デジタル技術を活用し、業務手法やプロセス、製品やサービスの進化に向け企業活動全般でDXを推進しているのが特徴であり、その成果は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」の選出にもつながっている。また、2030年に向けたDXロードマップを策定。意思を持った形で、継続的にDXの推進を行う姿勢を見せている点も特徴だ。

 執行役員・CDO(最高デジタル責任者オフィサー)の杉本征剛氏は、「グローバル競争力を向上すべくDXに取り組んできた。DXによる変革を通じて、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に取り組む」と述べる。

 富士フイルムグループでは、2014年に「ICT戦略推進プロジェクト」を発足。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用した企業変革を目的に、現場主導のDXを推進してきた経緯がある。2016年には情報科学を研究するインフォマティクス研究所と、IT戦略を推進する「ICT推進室」を設置。2017年にはCDOおよびDO(部門ごとのデジタル責任者)を配置している。

 2021年には、グループ全体のDX推進に関わる最高意思決定機関として、CEO(最高経営責任者)を議長、CDOを副議長とする「DX戦略会議」を設置した。部門ごとの取り組みに偏らない、グループ全体での最適化を目指したDXを推進している。また、同年にグループとしてDXで目指す姿を明文化した「DXビジョン」を策定したほか、各部門のDX活動をサポートする「All-Fujifilm DX推進プログラム」も始動。経済産業省のDX認定事業者にも選定されている。

 富士フイルムグループがDXに取り組む背景には、市場の変化に対する強い危機感を持っている点が見逃せない。そうした危機感の背景にあるのは、過去の経験だといえるだろう。

 2000年には売上高の約6割、営業利益の約3分の2を占めていた写真事業中心の経営体制を変革。化粧品市場や医薬品市場への参入に加え、デジタルソリューション事業の強化にも取り組んできた。

 杉本氏は、「デジタルによる社会活動の変化は、もう元に戻らず、顧客の変化に対応するには、デジタルでビジネスを変化させなくては敗者になるという意識がある。また、DXがITシステムの更新問題から企業文化の刷新問題に変化してきている。さらに、デジタル社会の実現の一翼を担うデジタル企業に対して求められる能力は、DX推進体制の整備や戦略策定、推進状況の把握、DX人材の確保、デジタルプラットフォームの形成などであり、富士フイルムグループのDX戦略はこうした背景から推進している」と語る。

 富士フイルムグループのDXビジョンでは、「わたしたちは、デジタルを活用することで、一人一人が飛躍的に生産性を高め、そこから生み出される優れた製品・サービスを通じて、イノベーティブなお客さま体験の創出と社会課題の解決に貢献し続けます」を掲げている。

 これを実現するためのDX基盤としては、製品・サービスを支えるデジタルプラットフォーム、生産性向上によるクリエイティブ業務へのシフトを図る業務DXプラットフォーム、多様なDX人材を育成しデータに基づいた人材配置の最適化を行う人材プラットフォームの3つを用意。これらを柔軟で強靱(きょうじん)なITインフラの上に構築しているという。

 「社内の生産性が飛躍的に高まれば、顧客に新たな価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる時間が増える。この好循環を加速させるべくデジタル技術を使い、仕事のやり方を大きく変えていくのが基本的な考え方だ。また、『DX曼陀羅』と呼ぶテンプレートをDX先行部門が作り、DXに向けた考え方を統一し、自部門での課題を明確化していく。課題が明確になった案件からDX戦略会議で審議し、具体的な実行に落としていく」(杉本氏)

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