通信建設からSIerを経てDX企業に変わる–NECネッツエスアイの牛島社長

今回は「通信建設からSIerを経てDX企業に変わる–NECネッツエスアイの牛島社長」についてご紹介します。

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 NECネッツエスアイは、中期経営計画「Shift up 2024」をスタートした。目標年次の2024年度に売上高3700億円、営業利益340億円、営業利益率9.2%、自己資本利益率13%以上を目指す。営業利益は過去最高だった2020年度実績の更新を見込むが、数値目標以上に注目したいのが、「Shift up」という名称にも込めた同社のビジネスモデルを新たな“ギア”に入れ替え、コンサルティング機能を持つデジタルトランスフォーメーション(DX)企業へ進化を図る挑戦だ。代表取締役執行役員社長の牛島祐之氏に聞いた。

–2021年度までの中期経営計画の結果は、売上高、営業利益、自己資本利益率とも目標を上回りました。どう評価していますか。

 業績は、コロナ禍でのDXの促進や「GIGAスクール」特需といった追い風があり、意欲的な目標でしたが、2年目で達成しました。こうした数値以外に、社員の意識が変わってきたことに大きな意味がありました。

 以前の当社の役割は、NECグループの通信建設(通建)会社として工事を請け負い、親会社から求めに対し、それを超える高い品質で応えていくことに価値を置いていました。しかし、これからの時代は、それではいけません。この3年間は市場競争力を高め、競合を意識した事業に取り組む意識に変えてきました。通建企業からシステムインテグレーション企業(SIer)になり、さらにもう一段変化し、クラウドベースのDX企業になることを目指しました。

–具体的にはどう変化しましたか。

 まず会社の仕組みが変りました。当社には企業向け、社会インフラ向け、通信事業者向けの3つの主力事業があります。それぞれ分断していたのを見直し、全社一体で動ける形に組み替え、業務を効率化し、社員の力を生かせる仕組みに変えました。

 目標の持ち方も変えました。3年の中期経営計画期間とは別に、将来に向けて当社の変革像をデザインし、それを2030年の目標「DX×次世代NW=Sustainable Symphonic Society(持続可能で、豊かに響きあう社会の実現)」として掲げました。これを旗印に、DXやクラウドをベースにした形に事業を組み直しました。工事会社に始まり、SIerに変革し、いよいよクラウドを活用したDXプレーヤーとしても独自ポジションを担うようになってきたと考えています。

 当社は、コロナ禍前の2019年10月に「分散型ワーク」を推進し、本社の床面積の60%を削減する一方、首都圏7カ所にサテライトオフィスを開設し、その日の業務目的に合わせた場所で働けるようにしました。社員から驚かれましたが、コロナ禍前に社員自ら実践していたことで、実体験を基にどこでも働ける環境をお客さまに提案できる体制があり、これは他社にない強みでした。コロナ禍前は、働き方変革やクラウドを活用したDXの提案に時間を要しましたが、現在はお客さま自らがクラウドを活用した変革に取り組み、当社にとってもクラウド型ビジネスへ一気に移行する契機になりました。

–前の中期経営計画の間に、DX事業ブランド「Symphonict」を立ち上げました。進展をどう評価していますか。

 DX関連の品ぞろえは、想定より早く進んでいます。当社は日本でいち早く「Zoom」を取り扱い、日本での独占販売契約を結んでいました。コロナ禍の前から数多くのオンライン会議の提案ノウハウを蓄積しています。また、電子署名など各種クラウドソリューションとの連携、各種センサー機器を活用したソリューションも積極的に提案しており、それらがSymphonictの提案で強みになっています。

 DX受注高は、2019年度が60億円、2020年度が130億円、2021年度が275億円と倍々で伸びています。数字的にまだ事業規模は小さいですが、既存ビジネスが多く関連しており、それらも同時に成長している点が重要です。例えば、Zoomはラインセンス販売だけですが、それを起点にZoomを活用するための環境構築にも広がります。クラウドサービスの利用を契機に業務プロセスの改革全体を請け負うビジネスにつながるケースが増えています。

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