KDDIや日立ら、量子関連技術で勤務シフト作成時間を半分以下に短縮
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KDDIエボルバ、KDDI、日立製作所(日立)は6月、量子コンピューティング関連技術を活用して、auのメッセージサポート業務を担うコンタクトセンターのスタッフの勤務シフトを自動作成し、7月に実勤務へ適用する実証を行った。
実証の結果、管理者がシフト作成にかかる時間を半分以上短縮できることを確認した。また、実際の勤務への適用後に実施した調査では、9割以上のスタッフが勤務シフトの自動作成に肯定的な回答をしたという。3社は2023年度以降の実用化を目指す。
活用した量子コンピューティング関連技術は、量子コンピュータを含むイジングマシン(組合せ最適化問題を解くための技術)を用いて計算するための仕組み。混み合わせ最適化問題をQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization: 二値の二次式で表される最適化問題)で表現する。
実証ではKDDIエボルバの北海道地区事業所における約100人のスタッフの1カ月分の勤務シフトを作成した。その結果、勤務条件に関するデータの準備やスタッフとの最終調整も含め、約5時間で作成を完了できた。また、実証では量子コンピューティング関連技術によってシフト作成にかかる工数の削減だけではなく、特定スタッフに偏りの出ない勤務シフトの作成も可能となった。
KDDIはKDDI総合研究所の協力のもと、量子コンピューティング関連技術を用いて勤務シフトを作成するための計算手法を研究している。また、日立は量子コンピューティングを模した日立独自の計算技術「CMOSアニーリング」を使用した「勤務シフト最適化ソリューション」を提供している。
3社はKDDI、日立両社の量子コンピューティング関連技術に関する知見を共有し、実勤務に適用可能なレベルを確保するため実証内容について議論・協創してきた。
コンタクトセンターを中心とするビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を展開するKDDIエボルバでは従来、勤務シフトを作成する専門の管理者が勤務希望やスキル平準化などの20個以上の勤務条件を基に人手で勤務シフトを作成していた。日/時間帯/スキルごとに必要なスタッフ数を満たすなどの考慮が必要なため、約100人のスタッフの勤務シフト作成に熟練した管理者でも11時間以上を要していた。
また、一般的な勤務シフト作成ツールでは必要人員数の調整は可能だが、勤務条件を十分に満たすことができず人手による修正が発生し、全体工数が増えてしまうことが課題となっていた。このツールを用いて100人規模のシフトを作成する場合、修正作業やスタッフとの調整を含めて20時間を要していた。さらに、特定スタッフの勤務時間帯に偏りが出るシフトが生成され、不公平感からスタッフの理解が得られないといった課題も出ていたという。