「日本のためのクラウドとAIに注力する」–日本オラクル・三澤社長が講演

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 日本オラクルは10月31日、東京都内で年次イベント「Oracle Technology Day/Oracle Applications Day」を開催した。基調講演では、取締役 執行役 社長の三澤智光氏が、9月のグローバルイベント「Oracle CloudWorld」の内容を振り返りながら、日本市場での取り組みや顧客事例などを紹介した。

 まず三澤氏は、「クラウドテクノロジーとAIで変える日本の未来」と題して、Oracle CloudWorldで発表されたクラウドやAIに関する新たな施策と日本市場での取り組みを説明した。Oracle CloudWorldでは、米Oracle 最高技術責任者(CTO)がLarry Ellison氏が生成AIに対する見解を語っており、三澤氏は「生成AIはまるでえたいの知れない存在のようなイメージを持たれているが、Larry(Ellison氏)は、生成AIでは社会課題解決などの目標とコントロールが重要だと述べた。目的を達成するために生成AIを活用し、それをデータやクラウドで支える」と話し、OracleがSaaSからIaaSまでを提供しているユニークな立場のクラウド企業であると示した。

 日本企業の生成AIの活用は話題のテーマになっている。しかし、そのためにはまだまだ課題があり、三澤氏は(1)レガシーモダナイゼーションが必須、(2)5~10年先の技術進化を見据えること――が肝心だと説いた。

 (1)は、生成AIを含めデータを活用して新しいビジネスモデルや事業環境に追従し、かつ、高まるサイバーセキュリティのリスクにも対応する上では、レガシーシステムをクラウドベースの新しい環境にすることが必須だとする。

 (2)についても、5~7年サイクルで基幹システムを更改するこれまでのやり方では、更改の度に膨大な費用や時間、コストなどを投じて技術負債やセキュリティリスクを削減しなければならず、企業競争力の維持・向上の足かせになっていた。生成AIが今後あらゆるビジネスなどを変革すると目されるだけに、企業は中長期的な技術の進化と活用を見据えて取り組む必要があるという。

 (1)のレガシーモダナイゼーションは、「2025年の崖」問題やDX推進の観点からも多くの日本企業が取り組んでいるが、大企業ほどに多数の基幹システムを抱え、対応には時間を要する。そうした中でOracle全体の顧客でも特に大規模なケースというのがKDDIだ。

 日本オラクル 専務執行役員 クラウド事業統括の竹爪慎治氏がモデレーターとなった基調講演の後半では、KDDI 技術統括本部 情報システム本部長の増田克哉氏が基幹システムのクラウド化状況を説明した。

 KDDIでは、「au PAY」の残高管理と「Ponta」のポイント管理の両システムが2022年にサポート終了期限を迎えるため、本番環境はオンプレミスを維持しつつ、災害対策(DR)サイトには「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を採用した。なお、DRサイトでもスループット性能を従来の2~5倍に高速化して、本番環境と同水準にしているという。

 さらに、現在は「au」音声通話の料金計算および精算処理におけるシステムのバッチ処理と、KDDIの各種サービスおける顧客IDの管理基盤のOCIへの移行を進めている。増田氏によれば、同社は5G通信サービスを生かしてさまざまな業界分野にソリューションを展開する「サテライトグロース」戦略を推進しており、通信品質とセキュリティを土台として、アジャイル内製開発やクラウドの本格的な活用に取り組み中とする。

 レガシーモダナイゼーションを検討すべきシステムは約150もあるといい、戦略に基づく実行計画を策定中だという。

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