DXの一環として推進すべき–日本IBM、メタバースの本格普及に向けたレポート発表
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日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、国内メタバース市場の概況やメタバースが果たす役割を分析し、メタバースサービス提供者に向けた提言をまとめたレポート「過剰な期待に沸くメタバース市場、その先にある真のポテンシャルとは?」を公開した。
同レボートは、IBMのシンクタンク「IBM Institute for Business Value」(IBV)が行った調査を基に、事業者が取り組むべき方向性を示唆している。対象となるのは主にB2BとB2B2C領域においてメタバースサービスの提供を検討・実施する事業者、そのビジネスパートナーまたはユーザーとなり得る企業。
また、国内の個人消費者を対象としたウェブアンケート調査も実施することで、B2C領域における個人のメタバースに対する受容性や潜在的なニーズを分析・深掘りしている。
なお同レポートでは、仮想現実(VR)に加え、拡張現実(AR)や複合現実(MR)も含めてメタバースを構成するコア要素として定義。そして個人や企業が認識する課題やニーズに応えるため、メタバースがどのような役割を果たすのかについて、(1)「コミュニケーション」と「コミュニティー」の観点でのメタバースの価値、(2)メタバース体験者の感想とB2B2Cエコシステム拡大の可能性、(3)未来への期待とB2Bメタバースの革新――から考察している。日本IBMは、3つの視点の全てにおいてさまざまな取り組みを進めているという。
(1)では、社内コミュニケーションの活性化に向けた部門懇親会の実証を進めているほか、500人以上の新入社員の入社式をメタバース空間で実施するなど、概念実証(PoC)と価値実証(PoV)を推進している。
(2)では、ある医療機関の建物を3Dモデルとして再現し、患者や家族が来院する前に医療従事者を含めた病院の様子を体験したり、外出が困難な患者向けに病院外を再現したバーチャル空間で家族や友人と交流したりできる仕組みづくりに取り組んでいる。
(3)では、AR/MRを活用した業務効率化や、VRを活用したビジネスプロセスのデジタルツイン化などの実績を国内外で多数保有し、将来的にはそれらを組み合わせることで、ビジネスプロセスや事業モデルの変革を加速させることを視野に入れている。
メタバースサービス提供者に向けた提言では、B2B/B2B2C領域のメタバースは、企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として推進することが前提となるとしている。サービス提供者は、ITとビジネスの「総合力」を獲得していくため、包括的な技術ケイパビリティーの醸成や、幅広いエコシステムの形成が不可避となるという。
次に、サービス提供者側の思考が「メタバースありき」では顧客の求める本質的な課題解決にはつながらないとし、課題解決を行うための1つの選択肢としてメタバースにも精通するパートナーの選定が重要だと説明する。
さらに、サービス提供者は企業のデジタル組織強化や経営層の意識変革を後押しし、アジャイル型経営を定着させることが重要であり、事業環境の変化への柔軟な対応や迅速な事業創出を促進することが不可欠になるという。
加えてサービス提供者は、中長期的な視点で社会課題の解決やサステナビリティーの実現に重点を置くパートナーとの連携を進めることが必須としている。