第46回:列伝6人目「士業の進化系ひとり情シス」
今回は「第46回:列伝6人目「士業の進化系ひとり情シス」」についてご紹介します。
関連ワード (「ひとり情シス」の本当のところ、運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ひとり情シス協会が編集した「ひとり情シス列伝」の第六章は、零細~中小の企業規模が多いと言われている税理士事務所の中で、上位2%の規模の税理士事務所に所属している田中賢一さんのお話です。田中さんは社会人経験6年目で駆け抜ける毎日ですが、スキーの腕前はプロ級、バーテンダーになれるほどの洋酒好き、劇団の追っかけなど、飽くなき探求心で人生を楽しむ進化系ひとり情シスです。
IT業界で働く夢を諦めて堅実な業界を選び、縁があって就職した税理士事務所。しかしそこで待ち受けていたのは、連発するITトラブルや変化を望まないユーザー(従業員)たち。日々悪戦苦闘しながらも、最近では自身が唯一無二の存在になりつつあるという実感が湧き始めているそうです。列伝では6つの提言をされていますが、ここではその内の2つを紹介します。
ITベンダーの宣伝文句で「経営を強化するIT」「経営とITの融合」などといったキーワードを目にしますが、正直意味が分かりません。どんな仕事も結局は経営に貢献しなければいけないものと考えているからです。例えば、業務の効率化・自動化による人件費の削減は、分かりやすい経営への貢献です。業務の効率化は、守りのITというだけにとどまりません。空いた時間をより付加価値の高い仕事に振り向けられれば、新しく経営に貢献できる仕事に着手できるようになります。
あと、セキュリティやネットワーク管理などの目に見えにくい業務も、リスクヘッジという意味では経営に貢献しているのですが、なかなか経営層に理解されにくいことは否めません。これらは経営のリスクを最小化するために必要な投資であるということを、繰り返し説明する必要があると感じています。
ひとり情シスをやっていく上で必要なことは、何ひとつ特別なことはないように思います。基本的なことの積み重ねです。丁寧に周囲とコミュニケーションを取る。相手の立場に立って考える。分からないことは調べたり、本を読んで覚えたりする。仕事は慎重かつ丁寧に、よく確かめて進める。ドキュメントや履歴を残して後から分かるようにする、などです。これらは、情シスの仕事に限ったことではありません。
私の場合、ひとり情シスは兼任で、主務は税務の専門家です。税務の専門家を目指す過程では苦しみもありましたが、解法のテクニックは情シスに関しても基本同じでした。ひとり情シスが初めての仕事である場合は、情シスが大変というより、課題認識と自己解決の経験が浅いので負担になってしまうのではないかと思います。そのような人は、ITだけではなく、ITを生かしたマーケティングや経営、統計解析など別の探求をすることにより、幅の広い知識を獲得しつつ問題解決能力を高められると思います。
「大変なのは、ひとり情シスだからだ」と思ってしまうと被害者意識のようなものが出てきてしまいますので、「期待されている」とか「専門家になれるチャンス」と考えると良いのではないかと思います。ITの知識の可能性は無限大だと思います。その幅広い知識に触れられる仕事ですので、興味がある人には面白いと思います。逆に学ぶべきことが明確でないと気持ちが悪いとか、継続的な勉強が好きではないという人にとっては辛い仕事かもしれません。
情シスの仕事は、必要なITの知識を身に付けるだけでなく、それらを応用して経験学習することが肝になります。そのような仕事に適性があるかどうかはよく考えるべきだと思います。