中国でフードデリバリーの食品ロッカーが有料化、負担は弱者の配達員に

今回は「中国でフードデリバリーの食品ロッカーが有料化、負担は弱者の配達員に」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 中国では物価と給料が年々上がっている一方で、一般市民は細かな値上げに敏感だ。フードデリバリー用の食品ロッカーは、武漢市を中心とした新型コロナウイルス感染症の拡大とともに登場し、それなりの普及を見せた。昼時になると多くの人が利用する光景が目に映る。当初は無料だったが最近は有料になり、それも配達員の負担(0.3~0.5元程度、円換算で数円~10円程度)になるというニュースが中国各所で報じられている。

 食品ロッカーは、「小区」と呼ばれる高層住宅団地のほか、主にオフィスビルや公園、大学、病院など、きちんと管理されていて部外者が自由に立ち入ることのできない場所に設置されている。フードデリバリーの際には、顧客の同意のもと、配達員がロッカーに荷物を預ける。

 中国料理は温かくして食べるのが基本なので、食品ロッカーは保温機能を備えているものが多く、しばらく保管していても問題ない。せっかく会社や自宅で弁当を食べるなら温かいまま食べたいわけで、そうした点でフードデリバリーと食品ロッカーのメリットは大きい。

 中国の建物内では、上下移動に時間がかかるケースが多い。単に高層建築が多いというだけでなく、各階に止まっては多くの人が乗り降りするなど、運行効率が悪いエレベーターが多くあるのだ。食品ロッカーを活用することで配達員はエレベーターを利用する必要がなくなるし、住宅団地でも個人宅まで行かなくてもいいので時間削減になる。

 また、配達員は遅配によるペナルティーのリスクからも解放される。だから配達員が食品ロッカーの費用を負担してくださいね、という理屈なのだ。もちろん、直接の手渡しが不要になったことで、宅配ロッカーほどではないが、多少時間がずれても荷物を受け取れるという消費者側のメリットもある。

 メリットばかりではない。食品ロッカーはスマートフォンと連動して開閉する仕組みなので、スマートフォンのバッテリーが切れていると使えない。また、物理鍵などの手段が用意されていないため、リモートサポートにつながらないとすぐに対応してもらえず、食事をロッカーに放置したまま食べられないというトラブルもある。

 食品ロッカー設置の売り文句はこうだ。「食品ロッカーの収入は、注文1件につき0.3~0.5元。オフィスビルや学校なら高頻度に稼働し、1日で200元以上、1カ月で6000元以上の収入となる。加えて、自動販売機を横に置いたり、広告を載せたりすれば、さらなる収入を得られる。地域によっては政府の補助金もある」

 食品ロッカーを導入したい人は、フランチャイズ加盟金として5万元を運営会社に支払う。「フランチャイズに加入すれば、設備のメンテナンスはもちろん、ロッカーに備え付けられた防犯カメラも利用できる」という。

 ところで、食品ロッカーが登場する前から、オンラインショッピングで購入した商品を一時保管するための宅配ロッカーが普及している。オンラインショッピングの利用が増えるにつれて、1つの住宅団地に何基もの宅配ロッカーが設置されているのが当たり前だ。宅配ロッカーの最大手「豊巣」は2年前、12時間以上の保管利用を消費者の有料負担という形にし、猛反発を受けたことがある。

 「夜間に荷物が預けられたら、仕事をしている日中は受け取りにいけないし、12時間なんてあっという間だ。オンラインショッピングは安さが魅力なのに、送料が実質上がるのは納得いかない」というのが消費者の意見だ。こうした声がネットで飛び交い、さらに中国各地の住宅団地で豊巣のロッカーの利用をボイコットする動きにまで発展した。住宅団地によっては別のメーカーの宅配ロッカーを新たに設置するところもあれば、宅配ロッカーを撤去して敷地内の一角に荷物の山をそのまま置いておくというところもあった。

 こうした消費者の動きを学び、食品ロッカーを展開する企業は立場の弱い配達員に利用代金を負担させることを決めたのかもしれない。

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