データ主導型のDX推進を支援–インフォマティカ・ジャパンの渡邉新社長
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2022年7月1日付でインフォマティカ・ジャパンの代表取締役社長に就任した渡邉俊一氏は、30年以上にわたり、グローバルIT企業の日本・アジア市場におけるビジネス開拓や事業拡大を主導してきた経験を持つ。直近では、グローバルITコンサルティング企業のCapgeminiで3年間、シニアディレクター・金融営業統括責任者を務め、日本およびアジア地域におけるビジネス変革をけん引。それ以前は、英国・ロンドンに本社を置くフィンテック企業FINASTRAの日本支社で5年にわたって代表を務めてきた。
渡邉氏は新社長就任への意気込みを次のように語る。「両社のビジネスを通して、日本企業のグローバルなデジタルトランスフォーメーション(DX)に深く関わってきた。コロナ禍やウクライナ侵攻、急激な為替変動など、不確実性が高まっている昨今、企業や社会で急速にDXが進んでいる。だが、DXはあくまで手段であって、目的ではないと考えている。企業がDXを推進する目的は、新たなイノベーションや価値の創造にある。その源泉となる、一番重要な素材がデータだ。インフォマティカ・ジャパンでは、顧客とパートナーと共に、DX実現に向けたジャーニー(旅路)を進めていきたい」
同社の市場機会について、渡邉氏は3つの観点を挙げた。1つは、世界のデータ管理市場の中で最大440億ドル超を獲得可能であること。もう1つは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」、デジタル技術とデータ活用がセットで語られていることで、「ここにデマンドがある」(渡邉氏)
そして3つ目がクラウドの浸透。世界の最高データ責任者(CDO)を対象にしたInformaticaの調査によると、日本企業の81%がマルチクラウドを利用しているという。「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの利用によって、データはより複雑で分散した状態になり、データやシステムのサイロ化が進んでいくとされている。こうした環境の中で、「ハイブリッドやマルチクラウド環境でエンタープライズ企業が効率的にデータを管理し、データ主導型のビジネス変革を推進する支援をしていく」と渡邉氏は強調する。
Informaticaは1993年に米国・カリフォルニア州で設立されて以来、ETL(抽出・変換・格納)ツールのトップベンダーとしてライセンス販売が中心だったが、近年はサブスクリプションとクラウドサービスへのビジネスモデルへとシフトしている。7月に発表された決算発表によると、2022年第2四半期におけるサブスクリプションの年間継続収入(ARR)は前年同期比31%増の8億9600万ドル、クラウドのARRは前年同期比42%増の3億7300万ドルだった。「具体的な数字は公表できないが、日本でも同じように推移している」(渡邉氏)
グローバルと日本で注力しているのが、パートナーエコシステムの拡大だ。日本では、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、SCSKといったシステム大手とパートナーシップを構築しているほか、グローバルではAmazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google、Oracleといったテクノロジー大手とクラウドパートナーとして連携している。SnowflakeやDatabricksといった新興ベンダーとも製品ベースの連携を発表している。
顧客軸では、インダストリーに特化したストラテジーをグローバルで展開している。2021年4月に発表したデータ管理クラウド「Intelligent Data Management Cloud」(IDMC)では、2022年3月から小売り、金融、ヘルスケアなどのインダストリーに特化したモジュールの提供を始めている。
現在、500社以上の日本企業が同社のソリューションを活用してデータ駆動型のDXを推進している。例えば、三菱重工業では、データ活用の準備工程を10分の1程度に短縮し、管理運営の総コストも約50%減となる見込みという。「顧客企業とパートナー、われわれが三位一体となり、データ主導型のDXを推進していく」(渡邉氏)