信金とNTT東西の提携がもたらす全国中小企業のDX推進へのインパクトとは

今回は「信金とNTT東西の提携がもたらす全国中小企業のDX推進へのインパクトとは」についてご紹介します。

関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、東日本電信電話 代表取締役社長の澁谷直樹氏と、ワークデイ 日本法人社長の正井拓己氏の発言を紹介する。

 信金中央金庫(以下、信金中金)と東日本電信電話(以下、NTT東日本)および西日本電信電話(以下、NTT西日本)は先頃、全国の中小企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目指し、業務提携を結んだと発表した。澁谷氏の冒頭の発言はその発表会見で、提携の目的について強調したものである(写真1)。

 この提携の狙いは、全国254の信用金庫の中央金融機関である信金中金と、地域に根差してデジタルサービスを提供するNTT東日本およびNTT西日本が連携することで、地域のさまざまな課題にきめ細かく対応し、全国の中小企業のDXを全面的にサポートしていくことにある。

 また、この業務提携に基づく具体的な取り組みとして、信用金庫を通じて中小企業向けポータルサービス「ケイエール」を10月より順次、提供開始することも明らかにした。同サービスにより、全国の信用金庫と地域の中小企業をデジタルでつないでさまざまなサポートを提供していく構えだ(図1)。

  両者の提携による具体的な活動内容としては、「ケイエールの普及拡大」「中小企業のDX実現に向けたサポート」「信用金庫のDX推進態勢構築に向けたサポート」「地域活性化に向けた取り組み」の4つを挙げている。それらの詳細な内容や提携に至った背景については発表資料をご覧いただくとして、ここでは信金中金 理事長の柴田弘之氏とNTT東日本の澁谷氏の会見での発言で、筆者が印象に残ったコメントを挙げておこう。

 「私たちとしては、これまで培ってきたフェイスツーフェイスのリレーションに加え、デジタルにおいても中小企業や地域社会の最も身近なパートナーになることを目指していきたい」(柴田氏)

 「地域を支えるという意味では、信金中金とNTT東西は企業文化や価値観を共有しており、NTT東西が通信でラストワンマイルをつないでいるのと同様に、信用金庫は金融としてのラストワンマイル機能を保持している。この両者を掛け合わせることで、中小企業や地域のDXを力強く支援していきたい」(澁谷氏)

 発表資料では最後に、「今後は、全国124万社の融資取引先を持つ信用金庫と、全国で通信サービスを提供するNTT東西が連携することで、さらなるネットワークバリューを生み出し、中小企業の課題解決を通じて持続可能な地域社会の実現に一層貢献できるように努めていく」と結んでいる。

 こうした広がりが期待できる両者の提携には筆者も大いに注目しているが、大きな課題となりそうなのはやはりデジタル人材の不足だ。NTT東西での強化はもちろん、信用金庫の人材がデジタルを活用できるようにする「リスキリング」の取り組みが急がれる。さらに、自治体や地域の大学、他のITベンダーなどとも連携して、人材リソースをうまくシェアリングする仕組みも必要になるだろう。NTT東西にはそうした「マネジメント」も期待したい。

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