第2回:ブロックチェーンを活用したチケッティングソリューション
今回は「第2回:ブロックチェーンを活用したチケッティングソリューション」についてご紹介します。
関連ワード (企業利用が本格化するブロックチェーンの現在と未来、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
前回の記事でブロックチェーン技術のエンタープライズ分野での実用化について述べたが、今回は事例の一つである長崎市における観光型MaaS(Mobility as a Service)の実証実験 について紹介する。
この実証実験は、ゼンリンの持つ地図情報と日立の持つチケッティングソリューションと決済サービスを連携させることで、観光地などの特定エリアにおける観光・経路案内と、現地でのサービス利用・決済をスマートフォンアプリでシームレスに行う取り組みである。
実証実験では、観光施設の入場券や電車・バスの一日乗車券などのサービスを受ける権利をデジタルチケットの形で商品化し販売しており、取り組みに参加する施設(サービス)や交通機関が追加になった場合はデジタルチケットの種類を増やす形でサービス拡充に対応する方針としている。こちらのデジタルチケットを発行・管理する仕組みにブロックチェーン技術を活用している。
ここではデジタルチケットを管理する仕組みとしてブロックチェーンを導入した狙いを説明する。まずは前提として一般的なチケッティングソリューションについて述べる。
従来のチケッティングソリューションでは交通事業者や観光施設などがチケットを発行し、施設の利用者となるエンドユーザーがチケットを購入・利用する一連のプロセスがあり、チケットの発売・利用・認証、収入管理、事業者間清算の仕組みがそれぞれ分離した状態で発展してきた。例えばある事業者では、チケット発売を行う窓口や自動券売機のシステム、チケットの利用・認証を行うゲート(改札)システム、各事業者内の収入管理、各事業者間でチケット販売や相互利用を行う場合の収入清算の仕組みが独立して存在している。
そのため、「チケット発売システム」と「チケット利用・認証システム」の間は認証媒体(チケット)を介して連携され、また各システムは実績データを任意の方式で「収入管理・事業者間清算システム」へ受け渡す形を取っている。各システムと収入管理・事業者間清算システムの間は専用の連携システムを構築するケースや記憶媒体を介してデータ連携をする方式など、事業者ごとに個別で機能を構築し運用されている。
このように各システムが独立して発展してきたため、1事業者内のシステムであっても、発売データ、利用データなどは個々のシステムが保有しており、各システムの保有するデータを収集するコストが発生している。
また、従来のチケッティングソリューションは1事業者内のシステムとして構築されているケースが大半であり、他の事業者との連携時は関係の深い事業者間でチケット認証システムや清算システムなど個々に接続している状況である。