第3回(最終回):CMSから始めるDX–ヘッドレスCMSの導入事例

今回は「第3回(最終回):CMSから始めるDX–ヘッドレスCMSの導入事例」についてご紹介します。

関連ワード (CMSから始めるDX、マーケティング等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 これまで2回に分けて「ヘッドレスCMS」に関して紹介してきました。第1回ではヘッドレスCMSが従来のコンテンツ管理システム(CMS)と異なる点を紹介し、第2回ではヘッドレスCMSが生まれた背景とメリットを説明しました。最終回となる今回は、実際の導入事例を取り上げてヘッドレスCMSの効果を説明します。

 ECの普及やコロナ禍にもかかわらず、ヨーロッパ有数のショッピングモールを展開するクレピエールは、革新的なデジタルショッピングの体験を提供し、顧客と小売業者を満足させています。同社は、モールに消費者や一流ブランドを呼び込むには「買い物をする場所以上のもの」を提供しなければならないと考えていました。

 クレピエールはSitecoreのヘッドレス機能を利用するべく、パートナー企業と共に新しいサイトを構築しました。このプロジェクトでは、6カ月でヨーロッパ11カ国、93のショッピングセンター向けに、デジタル、データ、CRMのプラットフォームを14言語で提供しました。また顧客の約8割がモバイルユーザーであることから、モバイルファースト戦略を掲げてプロジェクトを推進。その結果、ウェブサイトやマーケティングチャネルに対応するほか、インタラクティブキオスク(24時間体制で情報にアクセスできる端末)向けのコンテンツ、オムニチャネル配信のためのデータをCMSから取得できました。

 収集されたデータにより、クレピエールは顧客の好みに合ったデジタルエクスペリエンスを提供することが可能となりました。また、ショッピングモールに入っている小売店のマーケティングやプロモーションをサポートし、小売店間のクロスセル(検討している商品以外のものも購入してもらうための手法)を促進できるようになりました。

 ヘッドレスCMSを利用することで、市場投入の期間が短縮したほか、サイトの平均稼働率は99.999%、ページ表示に関するスピードの平均スコアも95%を達成しています。この要因には、「JavaScript」「API」「Markup」の頭文字を取ったコンセプト「Jamstack」でのアプローチにより、従来比で40%高速化できたことがあります。コンテンツの制作時間に関しても、従来のシステムでは10分ほどかかっていたものが1〜5分に短縮しました。またITインフラのチームは、静的コンテンツのホスティングサービス「Netlify」をヘッドレスCMSの配信サービスとして利用することで、運用に関する作業を軽減できたそうです。

 もう一つ、オーストラリア・シドニー市の事例を紹介します。多くの自治体と同様にシドニー市のサービスは、さまざまな情報を提供する必要がある中、適切な方法でサービスを提供することに苦心していました。複雑なインターネットアーカイブと時代遅れのCMSが、複雑で分かりにくい環境を作っていたといいます。

 またウェブサイトが整備されていないため、シドニー市のコンテンツチームはしばしば異なるコンテクストに同じ情報を掲載する必要がありました。その結果、コンテンツのメンテナンスと一貫性に課題が見られ、コンタクトセンターには多くの問い合わせが寄せられていたそうです。

 そこでシドニー市は、ヘッドレスアクセラレーター「Sitecore JavaScript Services」(JSS)を採用して、同市の情報モデルやサービスのニーズに対応したカスタムコンポーネント一式を構築。これにより、カスタムコンポーネントでは見た目のまま編集ができるエクスペリエンスエディターを利用することが可能となり、コンテンツの再利用と柔軟性を実現しました。

 結果として、クリック率が約50%増加したほか、目的のコンテンツを見つけるのにかかる時間が最大で25%短縮しました。ユーザーにとっては、余計なクリックをする手間が減ることで、その分コンテンツを参照する時間が増えたといえます。

 ヘッドレスで実装することで、コンポーネント化をスムーズに行えるほか、Sitecoreが提供している見たまま編集が可能となりました。そして、日常的に作成するページに関してはテンプレートを作っておくなど、運用においても効率的な仕組みを作ることができました。

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