日立製作所、疑似量子コンピューター「CMOSアニーリング」のクラウドサービスを開始
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日立製作所は、さまざまな大規模組み合せ最適化問題を高速に解くことができる独自のCMOSアニーリングを新たにクラウドサービスとして提供すると発表した。
CMOSアニーリングは、組み合せ最適化問題を解くために期待され、日立は新型コンピューターとして開発している。量子コンピュータの一種である量子アニーリングの仕組みを半導体上で疑似的に再現する。手軽に扱える利便性を有しながら、量子コンピューターのように膨大かつ複雑なパターンから最適解を探索する。
同サービスでは、金融ポートフォリオの最適化や大規模コールセンターなどの勤務シフト作成、移動ルート最適化による渋滞回避、生産、物流・配送、在庫などの計画最適化といった、実業務におけるさまざまな組み合せ最適化問題に活用する。CMOSアニーリングの計算機能に加え、業務にすぐに適用できるアプリケーション群を組み合わせた。
同サービスはCMOSアニーリングの利用に必要となるハードウェアからソフトウェア、アプリケーションまでを搭載したプラットフォームを月額制のクラウドサービスとして提供する。Kubernetesプラットフォーム「Red Hat OpenShift」を採用し、クラウドネイティブなシステムの導入を支援することで、プラットフォーム内のリソースをより柔軟かつセキュリティ重視の機能で最適化することが可能となる。
開発環境やアプリケーションの構築・保守が不要で、ユーザーは導入期間・コストを大幅に削減できるほか、イジングモデルといった高度な量子技術に関する物理・数学的な専門知識や、最適解を得るための数式のチューニングなどの技術を伴わなくとも手早く利用できる。
アプリケーション群には、金融や製造、物流、交通などさまざまな業種で活用できるものを搭載する。例えば、ウェブブラウザーからアプリケーションを選択し、必要項目を入力するだけで、CMOSアニーリングが計算した最適解を得ることができる。
これまでの実証実験や実導入で培った日立のノウハウを基に、各業種・業務で共通的なケースをあらかじめ取り込み設計しているため、迅速な導入や手軽な活用が可能。また、必要に応じて各企業特有の項目を個別カスタマイズして開発することもできる。
サポート面では、業務に精通した日立の営業やシステムエンジニアとCMOSアニーリング専門チームが連携し、課題の数式化やCMOSアニーリングへの実装などを行う。個別開発がある場合でも、日立がシームレスにサポートするため、ユーザー側では数学的な専門知識や技術は必要ない。
同サービスの利用価格は個別見積もりとなる。