DXを進める企業とITベンダーの関係はどうあるべきか–NEC社長に聞いてみた
今回は「DXを進める企業とITベンダーの関係はどうあるべきか–NEC社長に聞いてみた」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業と、そうした企業を顧客とするITベンダーの関係はどうあるべきなのか。NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 最高経営責任者(CEO)の森田隆之氏に聞いてみた(写真1)。
「DXもこれまでのITと同様、ベンダーに“丸投げ”同然の企業が少なくない」
最近、複数の業界関係者からこんな話を聞いた。「“丸投げ”同然」と言ってもよく聞けば「依存度」に多少の違いはあるようだが、いずれにしてもそうした企業は自らの手でDXを進めようという姿勢が乏しいようだ。以下、ベンダーという言葉と対比しやすいように、DXを推進する企業を「ユーザー」と呼ぶことにする。
これまでのIT化では、ユーザーの要望に沿ってベンダーがシステムを構築する形だったが、実際にはユーザーが要望を出す段階からベンダーに任せきりのケースも少なくなかった。ただ、ベンダーからするとユーザーは「お客さま」なので、請け負い方はどうあれ、「ご支援」といった表現が使われてきた背景がある。
ところが、DXはデジタル技術を活用した変革、すなわち「経営改革」を意味するので、ユーザーは自ら取り組まなければならない。とはいえ、デジタル技術の活用についてはユーザーもベンダーの支援を引き続き受けないと立ち行かないのが実情だ。
実は、上記の問題を2022年5月12日掲載の本連載「支援それとも伴走?–DXを進める企業とITベンダーの関係はどうあるべきか」で提起した。結果、この記事では「伴走」という言葉を使うベンダーが増えてきたことを記したが、なにやらうまく言いくるめられているような気がして釈然としないままだった。
そんな折、NECが10月3日、DX事業の取り組みについて記者説明会を開いた。会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、その質疑応答で会見に登壇した森田氏に筆者の疑問をぶつけてみた。ちなみに本稿のタイトルは、前出の問題提起の記事のタイトルを引用して「NEC社長に聞いてみた」とつけた。
筆者の質問に対し、森田氏は次のように答えた。
「私の印象としてまず申し上げておきたいのは、DX事業においてはベンダーという表現が使われなくなっていくのではないかと。というのは、私たちがそう思っているというのではなく、お客さまの見る目が変わってきていると感じるからだ。私は特に(2021年4月に)社長に就いてからさまざまな業界の企業のトップの方々とお会いすることが増えたが、その中でこんなお話をいただいた。『私たちにとってNECがベンダーならば、森田さんには私でなく情報システム部門の担当役員がお会いする。だが、私たちはNECをベンダーでなく“パートナー”だと思っている。DXは経営課題だ。その話をパートナーとトップ同士でお話ししたい』。この言葉がご質問の『ユーザーとベンダーの関係』における今後の在り方を物語っているのではないか」