第3回:Sales DX総点検–データドリブン型営業マネジメントのススメ
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データドリブン経営、データドリブンマーケティング――。ビジネスの中で「データドリブン」という言葉も市民権を得てきたと感じます。この波はバリューチェーン全体に広がっており、その背景にはデジタル化が進み、顧客の行動もデジタルを前提としたものに変容し、それに対応する企業も社内プロセスや顧客接点においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めてきたことがあります。
本稿では、バリューチェーン全体に広がる「データドリブン」の概念・考え方を営業と営業マネジメントの現場に取り入れる方法、その変革を進めるために必要なステップを解説します。
ビジネスで語られる「データドリブン」には、大きく分けて3つの目的が存在します。
目標数値に対して先行評価指標を定め、この評価指標をしっかりモニタリングすることで目標数値の達成確率を上げるよう管理する考え方です。簡単に言えば、データを用いた重要目標達成指標/重要業績評価指標(KGI/KPI)の管理です。
目的変数の結果に影響を与える要因(説明変数)を見つけ、目的変数の向上・改善につながるモデル(主に数式の形)を構築し、それを全体に横展開する考え方です。これも簡単に言えば、データの傾向から勝ち筋を見つける、といったデータの活用方法の一つです。
上記2つの考え方を用いて、プロセスや結果を管理する側が管理される側への関与を最小限にとどめ、可視化されたデータを用いることで管理される側が限りなく自主的に適切な行動を取るように促す、という考え方です。これは例えば、データを可視化・提示するなど、人の成果を上げる情報を提示する成果向上支援機能、つまりエージェント機能を指します。
前章で示した3つのデータドリブンの考え方を、営業と営業マネジメントの現場に取り入れると次のようになります。
一般的にはKGIを売り上げとし、受注件数×平均顧客単価・・・といった要因分解を行い、ドライバーとなるKPIを特定してモニタリングすることです。ここで重要なのは、KGIにひも付く下位の指標全てを追うのではなく、あくまでもKGIを向上させるのに効く“ドライバー”となる指標を選択することです。
例えば、新規受注獲得件数が多い営業担当者がいたとします。この担当者の行動データを分析してみると、見込顧客の商談回数は少ないものの受注率が突出して高いことが分かりました。どうやら彼の提案書と提案トークに秘密がありそうです。彼の提案書や提案トークをベストプラクティスとしてテンプレート化し、営業組織全体に共有する――。このようにデータを基に特定した最適解をロールモデルとし、それを営業現場で広く活用する、といった形になります。
最後は主に営業支援(SFA)ツールと周辺機能の拡張です。営業担当者が営業活動を行う際、あたかも有能な秘書が事前の情報収集や行動計画、さらには営業資料の作成に向けて下準備となる情報を提示することで、その提案精度が上がり、結果として「KGIが高まる」といった営業エージェント機能を具備することを指します。例えば、KPI達成状況のダッシュボード、顧客業界のニュース情報のキュレーション、類似するベストプラクティス提案資料の提示といった機能であり、営業活動を高度化・効率化するデータ活用の応用方法です。