花王、「Microsoft Power Platform」を使った業務デジタル化発表
今回は「花王、「Microsoft Power Platform」を使った業務デジタル化発表」についてご紹介します。
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日本マイクロソフトは10月20日、「Microsoft Power Platform」(Power Platform)の動向と国内事例を紹介する説明会を開催した。ビジネスアプリケーション事業本部長の野村圭太氏は、「従来の開発手法は十分なリソースやROI(投資利益率)が見込めない領域に最適」とし、事例を紹介した花王 SCM部門 技術開発センター 先端技術グループ マネジャーの竹本滋紀氏は、「最終的な目的はデジタル化ではなく、獲得したデータを設備管理などに活用すること。今後は蓄積したデータの活用方法を推進したい」と述べた。
花王は、2020年に発表した中期経営計画「2030年を見据えたK25基本構想」の一環として、各工場や物流拠点で社員自らが業務の自動化・デジタル化を行う「現場DX(デジタルトランスフォーメーション)」に注力する。ITソリューションの開発・運用や、生産者から消費者までのサプライチェーンを最適化するため、無人運送や人工知能(AI)による画像検査・判断支援に取り組む部署「スマートSCM(サプライチェーンマネジメント)」を新設している。
2020年後半からロボティックプロセスオートメーション(RPA)を導入していたが、「当社は『Microsoft Azure』や『Microsoft 365』を導入済みで、まずは無償で使えるPower Platformを試みた。私自身も動画を見ながら試してみたが、数十分てスマートフォンのアプリケーションが開発できたことに感動した」と竹本氏。これによりPower Platformの利用に取り組み、全国10拠点の工場や各事業所で263を数えるアプリケーションが稼働(開発中も含む)しているという。
例えば、和歌山工場では点検記録の電子化、法令届け出のチェック、運転データの閲覧、勤務表、PCの貸し出し、週間パトロール、自動倉庫点検表、濃厚排水の管理、資料報告、コンフィギュレーター(注文仕様生産)使用の状況、指摘事項、原材料管理、間違い防止と、稼働アプリケーションの種類は多岐にわたる。
数人で開発できる規模ではなく、竹本氏は「アプリケーションの仕様検討と開発能力が必要になるため、工場の規模に応じて技術開発センターの数人のエンジニアと共同開発している」と話す。
和歌山工場のケミカル製造の現場には、約170の紙の帳簿が残っていたが、Power Platformによって現場担当者がスマートフォンから記録・承認を申請し、管理担当者がPCで管理して煩雑な業務内容を改善した。また、一部の工場は、紙で管理していたケミカル製造に用いる原料情報を電子化した。約300品目超の在庫から1日に最大147品目を数えるピックアップを簡略化するため、管理や検索、危険物管理など、多様な目的で利用。同社では年間約480時間の効率化を見込んでいる。
同社にPower Platformが定着した理由として竹本氏は、「導入支援体制による組織的なバックアップ、エンジニアが伴走するパワーユーザーの育成、年2回の情報交換会を開催している。特に情報交換会は約300人が参加し、自らアプリケーションを開発する機運をうながした」と語る。
さらなる浸透を目指して、2022年10月にはシチズンデベロッパーサポートサイトを社内に開設。教育用に外部の動画や社内コンテンツの提示、ベンダー企業の協力を得た技術的な問い合わせ、Power Platformで開発したアプリケーションを横展開する「SCMアプリストア」を用意した。
同社では現在、Microsoft 365に含まれるPower Platform(Microsoft 365用Power Apps/Power Automate)を用いる。竹本氏は、「『Microsoft Dataverse』(Power Platformの共通データ基盤)を必要とする案件も増えてきた。有償版ライセンスを一部購入しているが、取り組みを加速させたい。また、展開は国内工場のみだが、今後は海外工場へも展開したい」と展望を語った。