「コンピューティングパワーは不足しつつある」–IBMの答えはAI向け新チップ「AIU」
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最近の話題の過熱ぶりを見ると、まるで人工知能(AI)があらゆるところにすでに入り込んでいるかのようだ。だが現実には、AIを支える技術はまだ発展途上の段階にある。実際、多くのAIの応用事例では、AI用に設計されたチップではなく、汎用のCPUやゲーム用に設計されたGPUが使用されている。IBM、Intel、Googleなどの大手IT企業や、スタートアップやベンチャーキャピタルが、AIワークロード用の新しいチップの設計に慌ただしく投資しているのは、このミスマッチを解消するためだ。
この分野に対する企業の投資は、技術が向上するに従って確実に増えていくとみられている。Gartnerによれば、2021年のAIチップ市場の総売上高は340億ドル(約5兆円)以上に達しており、2026年には860億ドル(約13兆円)規模にまで拡大するという。さらに同社は、データセンターに置かれているサーバーのうちAIワークロード用のアクセラレーターを備えているのは、2020年時点で3%未満だったが、2026年には15%以上になると予想している。
このような状況の中、IBM Researchは、AIに特化したプロトタイプチップである「Artificial Intelligence Unit」(AIU)を発表した。
IBMは、AIUに関するプレスリリースで、「コンピューティングパワーは不足しつつある。これは、AIモデルの規模が指数関数的に大規模化している一方で、そうした巨大なモデルをトレーニングし、クラウドのサーバーやスマートフォンやセンサーなどのエッジデバイスで実行するためのハードウェアの進歩が、その勢いについて行けていないからだ」と述べている。
AIUは、IBM ResearchのAI Hardware Centerが開発した、エンタープライズAIの深層学習モデルの実行に特化して設計された、初めての完全なSoC(システムオンチップ)だ。
IBMは、「従来のコンピューティングの処理装置」(つまりCPU)は、深層学習が登場する前に設計されたものだと指摘している。CPUは汎用のアプリケーションには向いているが、超並列処理が必要な深層学習モデルのトレーニングや実装にはあまり向いていない。
IBM ResearchのAIコンピューティング担当ディレクターであるJeff Burns氏は、米ZDNetの取材に対して、「AIが今後、非常に長期間にわたって、ITソリューションの原動力となることは確実だ」と述べた。「AIは、コンピューティングを取り巻く環境や、こうした複雑な企業のITインフラやソリューションに、非常に広く拡散した形で浸透していくだろう」
Burns氏は、IBMにとって最も合理的なのは、普遍的に効果を発揮できる完全なソリューションを構築することであり、それができれば、「これらの機能をさまざまなコンピューティングプラットフォームに組み込み、企業のAIに対する非常に幅広い要求に対応することができる」と話した。