2023年からの5年間で100社のSaaS導入を目指す–インフォアジャパンの黒塚新社長

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 インフォアジャパンは11月2日、代表取締役社長に黒塚明彦氏が就任したと発表した。黒塚氏に日本市場での戦略や今後の経営方針などを聞いた。

 黒塚氏はIT業界で30年以上ものキャリアを持ち、そのうちの23年間はビジネスアプリケーションやエンジニアリングアプリケーションの分野において、世界のIT企業の日本法人でマネジメントやリーダーとしての役割を担ってきた人物。

 具体的には、統合基幹業務システム(ERP)大手のSAPジャパンやビジネスインテリジェンス(BI)ツールの日本ティブコソフトウェア、製品ライフサイクル管理(PLM)ベンダーのダッソー・システムズとPTCジャパン、サプライチェーンマネジメント(SCM)ベンダーのi2テクノロジーズ・ジャパン、顧客関係管理(CRM)ソフトベンダーの日本シーベルでビジネスをリードしてきた経験が買われ、Inforの即戦力として期待されている。

 同氏は加えて、「General MotorsのIT子会社であるElectronic Data Systemsでキャリアをスタートさせ、10年ほど自動車、製造業のシステムインテグレーションやプロジェクトマネジメントを経験してきた」と自身の来歴を振り返る。

 Inforでアジア太平洋地域・日本担当シニアバイスプレジデントを務めるTerry Smagh氏は、同氏の就任について「世界第3位の経済大国である日本の代表に、黒塚を迎えられることを大変うれしく思う」といい、日本市場への引き続きの投資と企業のビジネス変革の支援などを強調した。

 Inforは買収戦略によって急成長を遂げてきた業界特化型のERPベンダー。2022年で創業20周年を迎える。グローバルでの顧客数は6万5000社超、従業員数は1万7000人強。黒塚氏によると、日本市場での顧客数は約400社で、自動車部品メーカー、機械産業、重工業などの組み立て型製造業、食品・飲料、化学などのプロセス製造業、アパレル、消費財産業、ロジスティックス・倉庫業などが中心だという。

 近年は業界別に特化したSaaSソリューションの提供に注力している。黒塚氏は「業界特有の機能をあらかじめ備えたビジネスアプリケーションをクラウドベースで提供していること、カスタマイズなしですぐに使えるよう設計していること」と同社の強みを強調する。また、複数のユーザーでシステムやサービスを共有して利用するマルチテナント型である点も特徴だという。

 さらに、アジャイル開発をベースとした「Infor Agility」という独自の手法により短期導入やコスト削減を可能にしている。これは、6割を標準機能で実装し、3割を設定の追加/変更などで対応、残りの1割を機能開発するというアプローチになる。黒塚氏によると、導入スコープの8~9割を標準機能だけでカバーできた企業もあるという。

 インフォアジャパンでは、2018年からSaaS形態での提供を開始しており、現在は45社が利用しているとのこと。既存のオンプレミス環境からSaaSに移行する企業や、新規システムをSaaSで導入する企業が増加している。

 黒塚氏は「2023~2027年の5年間で100社のSaaS導入を目指す」といい、新規顧客の獲得に加え、既存顧客へのSaaS移行を推進していくと語った。また、ERPの周辺領域となる“エッジソリューション”として、SCM、PLM、倉庫管理システム(WMS)、BIの強化も図っていくとした。

 同氏はまた、パートナーエコシステムの増強として、既存パートナーへの営業トレーニング、コンサルティングトレーニング、導入技術支援の強化を挙げた。現在、チャネルパートナーが17社、アライアンスパートナーが12社、サービスパートナーが20社となっており、新規の販売チャネルと導入パートナーの拡大、グローバルアライアンスパートナーとの連携強化も計画する。

 最新の導入企業として、ミヨシ油脂の事例が紹介された。食用・工業用油脂の製造・販売メーカーであるミヨシ油脂は、Inforの食品・飲料業界向けのクラウドERPソリューション「Infor CloudSuite Food & Beverage」の導入を決定。

 同社では、2030年に向けたサステナブル(持続可能)な成長を支える新たな基幹システムへと移行するため、2024年1月から生産拠点や営業所を含む全拠点において、Fit to Standard手法を用いながら、財務・サプライチェーン領域などで段階的に稼働を開始する予定という。

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