不確実性の高まりがクラウドへの移行を後押し–ガートナー調査
今回は「不確実性の高まりがクラウドへの移行を後押し–ガートナー調査」についてご紹介します。
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IT業界専門の調査会社Gartnerは、パブリッククラウドコンピューティングサービスに対する支出に関する見通しを発表した。同社は、2022年の支出額は前年比18.8%増の4900億ドル(約72兆円)、2023年は前年比20.7%増の5918億ドル(約86兆8000億円)になると予想している。
最近では世界で同時多発的にさまざまな問題が発生しており、先行きを予測することが難しくなっている。Gartnerのパブリッククラウド支出に対する見通しには、この不確実性の高まりが反映されている。
同社のバイスプレジデントアナリストSid Nag氏は、プレスリリースの中で、「クラウドコンピューティングは、その俊敏性、弾力性、拡張性によって、不確実な時代における成長を支える安全性とイノベーションのとりでであり続けるだろう」と述べている。
Amazonは先日、第3四半期の売上高成長率が27.5%に鈍化したことを明らかにした。この数字はアナリストの予想を下回るもので、前年同期比の成長率としては2014年以来もっとも低い伸びとなった。一方Microsoftは、2023会計年度第1四半期のAzureを含むクラウドサービスの売上高が前年比で35%増加したと述べている。MicrosoftはAzure事業単体の業績を明らかにしていない。
Microsoft AzureとGoogle Cloudは徐々にAWSからシェアを奪っているが、Gartnerによれば、2021年のパブリッククラウド市場におけるAWSの世界的な売上高シェアは38.9%で、依然として他社を圧倒している。Microsoftのシェアは21.1%で、阿里巴巴(アリババ)は9.1%、Googleは7.1%だった。
Gartnerのパブリッククラウド支出に関する予測には、クラウドビジネスプロセスサービス(BPaaS)、クラウドアプリケーションインフラサービス(PaaS)、クラウドアプリケーションサービス(SaaS)、クラウド管理およびセキュリティサービス、クラウドシステムインフラサービス(IaaS)、クラウド仮想デスクトップサービス(DaaS)などが含まれている。
その中でも特に支出額が大きいカテゴリーが、SaaS、IaaS、PaaSだ。Gartnerは、2023年のPaaSに対する支出の成長率を23.2%、SaaSに関しては16.8%と予測しているが、これにはインフレや雇用の問題による影響もあるという。
Nag氏は、「クラウドへの移行は続いている」と述べている。「企業は、リスクを最小化し、コストを最適化するためにITのモダナイゼーションを加速させているため、必然的にIaaSに対する支出は成長を続けるだろう」
「最新のSaaSアプリケーションを開発するには、高賃金で高いスキルを持つスタッフが必要だが、企業はコスト抑制のために雇用を減らしているため、難しい問題だ。PaaSは、SaaSアプリケーションのコード生成をより効率的かつ自動的に行うことを可能にするため、結果として利用率が増加するとみられる」
同氏によれば、成長率、収益性、競争が負の圧力となっているにも関わらず、パブリッククラウドへの支出は今後も増加する見込みだ。ワークロードを一度クラウドに移行した企業はオンプレミスシステムに戻る可能性が低いというロックイン的な要素が存在することも、成長を後押しする要因になっているという。