「追い風が吹く今こそ、デジタルビジネスの加速を」–ガートナー鈴木氏
今回は「「追い風が吹く今こそ、デジタルビジネスの加速を」–ガートナー鈴木氏」についてご紹介します。
関連ワード (デジタル岡目八目、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ガートナージャパンの調査によると、デジタルビジネスに取り組む日本企業が3割近くに達した。リサーチ&アドバイザリ部門バイスプレジデントを務める鈴木雅喜氏は11月1日に開催のカンファレンス「The Gartner IT Symposium/Xpo 2022」で、デジタルビジネスに追い風が吹くとし、さらなる加速を提言する。具体策は、IT部門とビジネス部門の連携やイノベーターの発掘、スキル向上などを推進することだ。
デジタルビジネスの現状はどうなっているのか。ガートナーが取り上げるデジタルビジネスとは、先進技術を複合的に活用した「新規事業開発」と高度な自動化やプロセス変革などによる「既存事業変革」のことである。SaaSの導入やクラウドへの移行、さらに紙やプロセスの電子化は、従来型の「IT化・情報化」の領域に位置付ける。
同社の調査によると、そうしたデジタル技術を活用したビジネスを実現したり、増殖させたりする企業は、2018年の12.2%から2020年に23.2%、2022年は28.8%と年々高まっている。企業の取り組みも強化されている。2022年は前年に比べて、「やや強まる」と「かなり強まる」の合計値は「新規事業開発」が4ポイント増の47.2%、「既存事業変革」は8ポイント増の57%だった。鈴木氏は「追い風が吹いている」とし、リセッション(景気後退期)の前にデジタルビジネスの戦略を作成、実行に移すことを提案する。
ただし、IT部門のデジタル投資はそれほど前向きではない。「成功率80%なら投資する」が4割弱、「必ず成功するものしか投資しない」が1割強と、慎重派が約5割も占める。対して、「成功率20%以下でも投資する」と「成功率が不明でも投資する」という積極派は1割弱だ。
そうした中でも、デジタルビジネスを成功に導くための施策を、鈴木氏は幾つか紹介する。1つ目は、手がけるプロジェクト数を増やすこと。新規事業の成功率は5%未満とも言われていることもあってか、「当てる」には可能な限り有効なプロジェクトを創出、推進する。ガートナーの調査でも、推進中のプロジェクトを1つより、2~4つ並行して走らせる企業が多い。5つ以上という回答も10%弱ある。「小さな成果を出し続ける」(鈴木氏)ことが大きな成功につながるからだろう。
2つ目はIT部門とビジネス部門の連携である。デジタルビジネスはテクノロジーとビジネスの掛け合わせなので、ある意味当然のことだ。両者の連携比率は現在の25%から2026年までに半数になると予測する。
3つ目は人材である。鈴木氏は「デジタルビジネスは人が作るのだから、人材問題は外せない」と主張し、イノベーターの発掘を説く。「イノベーターは決してスーパーマンではない。普通の人で、周りに候補はたくさんいる」(同氏)。例えば、「今のままではだめだ。将来を変えたい」という変革願望のある従業員、リスクを経営陣に求めるのではなく自分で負える従業員、リスクを周りに分散できる従業員、抵抗勢力と向き合える従業員などだ。「文化の壁や既存の考え方を打ち破るためにもイノベーターがいる」と鈴木氏は強調する。