生成AIの教育利用–公平な学習機会の実現と倫理問題への対策

今回は「生成AIの教育利用–公平な学習機会の実現と倫理問題への対策」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、生成AIの台頭等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 小論文の執筆から共通テストの準備と得点まで、高等教育への道は複雑に入り組んでおり、社会経済的に苦しい状況にある生徒は不利になるおそれがある。AIツールによって有意義な支援を得られる可能性はあるが、倫理の問題が依然として立ちはだかる。

 個別指導サービス、コンサルタント、小論文指導者が役立つ可能性はあるものの、料金が高額である場合が多く、こうした追加リソースを利用する経済的余裕のない生徒にとって、進学は困難なプロセスになり得る。

 家族の中で初めて進学した筆者は、学校と課程を検討するときや、願書に記入するときに、家族からの助言をほとんど受けられなかった。大学への出願の際、このよくあるパターンが自分や他の多くの低所得者層の生徒に悪影響を及ぼしていることに気づいた。これらの不利な点は大学入学にも影響した。

 Brookings Instituteのレポートによると、裕福な家庭の生徒の大学進学率は89%で、中流家庭では64%、低所得世帯ではわずか51%だという。

 しかし、AIには競争条件を平準化するという意外な可能性がある。たとえば、「ChatGPT」はリアルタイムのチャットで筆者のあらゆる質問に答えられる無料の包括的なリソースだ。他の教育ツールも生成AIを組み込んで、学生の教育を促進している。

 Googleは非常に有効なインターネットツールだが、それでもユーザーは検索結果をくまなく調べて、情報の断片を見つけ出し、それらを組み合わせて最終的な答えを得なければならない。

 GartnerのリサーチアナリストであるSid Nag氏は、AIの利点を要約して、米ZDNETに次のように語った。「生成AI技術は、知識と情報アクセスのあらゆる面を民主化する」

 「かつては、さまざまな教科書を何冊も読んで、図書館に行き、オンラインの有料サブスクリプションを利用するなど、徹底的な調査によって知識を獲得していた」

 次の大学進学適性試験(SAT)の日程を検索するとしたら、複数の記事を取捨選択して1つに絞り、内容を確認して、簡単な答えを見つけるのに、約5分かかるだろう。

 一方、ChatGPTや「Bing Chat」など、インターネットに接続されたAIチャットボットは、この調査プロセスをユーザーの代わりに実行し、明確な回答と追加のリソースを自動的に提供する。

 米ZDNETが以前報じたように、Googleの回答とChatGPTの回答を比較した研究では、中級レベルと上級レベルの両方の質問において、ChatGPTの出力が思慮深さとコンテキストの両面でGoogleを上回っていることが明らかになった。

 「インターネットは、特に熟達した方法で自主的に学習する人に変革をもたらした。そうした学習者は、指示に従った賢明な消費によって、人類の知識の多くの分野で専門家になることができる」。ジョンズ・ホプキンズ大学のデジタル人文科学センター長兼研究助教授のTom Lippincott氏は、米ZDNETにこう語った。

 「だが、そのプロセス自体が大きな課題であり、誰もがそのように学習できるわけではないし、必要なものを発見して厳選し、消化する時間があるわけではない」

 AIチャットボットが持つ自然言語処理(NLP)機能により、システムは質問を理解する能力が向上し、会話形式で回答できるようになっている。

 パーソナルステートメント(志望動機書)はおそらく、海外の大学に提出する願書の最も重要な要素の1つだろう。これは、成績評価値(GPA)や試験の点数では測れない文章力と人格の両方を示すことを目的とした文書だ。

 通常、パーソナルステートメントは、多数の補足的な小論文の最初のものだ。学校によって異なり、期限が厳格に決められていて、出願者の書類一式の中で大きなウェイトを占める。CollegeVineによると、大学の上位250校では、一般的にこれらの小論文が出願書類全体の25%を占めるという。

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