昭和電工と旧日立化成が統合のレゾナックが発足–半導体材料の世界的企業へ
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昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合した新会社「レゾナック」が1月1日に発足し、17日に都内で経営方針説明会を開催した。持株会社となるレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工) 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の髙橋秀人氏は、従来の石油材料中心の総合化学から半導体材料を中核とする世界的な機能性化学メーカーへの変革を目指すと表明した。
レゾナックは、昭和電工と昭和電工マテリアルズを事業統合した新会社となる。昭和電工は、2020年に旧日立化成を子会社化し、同年10月1日に旧日立化成を昭和電工マテリアルズに改称。昭和電工は、レゾナック発足と同時に持株会社制へ移行し、レゾナック・ホールディングスに改称している。
新たな社名は、「Resonate」(共鳴)と「Chemistry」(化学)を組み合わせた造語で、髙橋氏は、「2つの会社が統合したが、第二の創業というよりも新しい会社を作り上げていく。世界的な機能性化学メーカーとなるべく経営力の強化と変革・挑戦の2つを推進する」と述べた。
髙橋氏は旧三菱銀行の出身で、日本ゼネラルエレクトリック(GE)を経て、2015年に昭和電工に入社した。銀行時代は海外に長期駐在し、日本の製造技術が世界一流ながら経営課題が山積する状況を憂い、製造業の変革に思いをはせてきたという。帰国後に日本の製造企業を志すも縁がなく、GEに入社してグローバル製造企業の経営ノウハウを学び、昭和電工と出会うことができたという。
同氏によれば、旧昭和電工は石油化学品や黒鉛電極などで高いシェアを持つ一方、成熟市場で成長性に乏しく、世界的な脱炭素化の動きなどに伴う業界再編の波も到来しており、企業変革が急務だとする。この間に8つの事業を売却し、日立化成の買収など半導体を中核とする事業ポートフォリオの組み替えを進めた。日立化成の買収で昭和電工は、2021年売上高ベースで国内第7位(同社調べ)の化学メーカーに浮上。「これでようやく世界市場で戦うスタート地点に立てた」(髙橋氏)として、今回の新会社発足の段階に至った。
2021年の売上高は1兆4196億円で、このうち31%を半導体・電子材料が占める。これを2030年に45%程度へ引き上げる目標を掲げる。髙橋氏は、この先も半導体市場の成長が確実視されるとしつつ、半導体製造プロセスのうち前工程では微細化の限界が見え、パッケージングなどの後工程が今後の技術革新の鍵になると強調した。この部分で旧昭和電工には材料の分子設計に強みがあり、旧日立化成は材料の機能設計を得意としたことから補完関係にあり、両社の技術を融合することによる効果を最大化させていく考えだ。
髙橋氏は、新会社発足に向けて新たな組織文化の醸成と人材育成に注力しているとし、直近1年では70拠点の現場を回って1100人以上と直接対話を重ねてきたとする。かつては経営層が事業の現場と直接対話する機会が少なかったといい、今後も引き続き社員の意識変化を促すとともに、成長領域の事業推進を担う人材の育成を図っていくとした。
また、新会社のミッションとして多様な社会課題や技術課題の解決にパートナーや顧客らと共創型のアプローチで取り組んでいくとする。ここでは「共創の舞台」として、研究開発部門の人材が集結するR&Dセンターを2024年に全面オープンさせる予定で、既に入居を開始した。特に計算科学を生かし、約70人の専門家らが人工知能(AI)技術などを活用し次世代高速通信(通称6G)の材料やプラスチックケミカルリサイクルを長期的な研究開発テーマとして取り組んでいく。
さらには、電気自動車(EV)の高度制御に必須の半導体パワーモジュールの材料開発を担う「パワーモジュールインテグレーションセンター」を本格始動させ、共創型のアプローチにより2025年までに素材開発から顧客採用までの大幅な期間短縮を実現させたいとする。
半導体製造プロセスの後工程では、これに特化した共創型のオープン開発拠点「パッケージングソリューションセンター」を開設。半導体製造装置や材料、基板メーカーら12社のコンソーシアムによる新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業「JOINT2」を通じて、半導体チップでの高度な接合や配線、基板大型化などの技術開発を進めている。
髙橋氏は、今後も事業ポートフォリオを「採算性と資本効率」「戦略適合性」「(同社が)ベストオーナー(となること)」の3つの観点で継続的に評価しながら、同社の変革と成長につながる最適な形で運営していくとした。