ERPで取引先と直接つながる–「Oracle Cloud ERP」開発責任者に聞く新機能の狙い
今回は「ERPで取引先と直接つながる–「Oracle Cloud ERP」開発責任者に聞く新機能の狙い」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」をプッシュするOracleが大きな賭けに出た――2022年秋の「Oracle Cloud World」で発表した「Oracle B2B Commerce」だ。同サービスを利用する顧客が取引のために相手に直接つながるというもので、金融のJ.P. Morgan、物流のFedExが最初のパートナーとして発表された。
Cloud ERPのトップで、B2B Commerceを構想からサービスにしたアプリケーション開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのRondy Ng氏に、Cloud ERPの戦略を聞いた。
–Cloud ERPが好調です。どのような点が受け入れられていますか。
顧客が抱えている課題として、分散された環境があります。作り込みが多く、手作業を要するオンプレミスのソフトウェアがあり、ビジネスと技術の両方の点で、変更への対応に苦労しています。また、技術面ではサイバーセキュリティがどの企業にとっても大きな問題となっています。
SaaSは、これらの問題を解決することができます。Cloud ERPは、包括性、最先端の技術、革新性、1万社を超えるエコシステムなどの優位性があります。顧客との関係も変化しており、私たちは年間1200~1400もの新機能を提供していますが、この中には顧客からのフィードバックを受けて開発したものがたくさんあります。これを四半期ごとにリリースし、顧客は何もしなくても最新の機能を利用することができます。
–Oracle Cloud Worldで発表したOracle B2B Commerceは、どのようなものですか。
Oracleは、全社のミッションステートメントとして、エンドツーエンドのオートメーションを実現することを目指しています。エンドツーエンドは、企業内だけでなく取引先などやりとりが生じるところでも実現していきます。B2B Commerceは、そのためのサービスです。企業のビジネスは、販売、調達、出荷など多数のプレイヤーによって成り立っています。現在、高度なERP製品であっても企業間の活動を自動化できていません。
OracleのCloud ERPは、数多くの多国籍企業が利用しており、そのエコシステムは拡大しています。これらの企業が直接つながることで、自動化や効率化をはじめ、さまざまな可能性があると考えました。
これまで企業と企業が直接つながるためには、カスタムAPIやカスタムインテグレーションが必要でした。この作業は簡単ではなく、コンサルティングを含め時間とコストがかかります。しかも、1社ずつつなげていくしかなく非効率です。
そこでJ.P. MorganとFedExと提携し、それぞれのサービスにCloud ERP上で直接接続して統合できるターンキーソリューションとして提供します。これまで大手企業が銀行口座を設定し、電子的に連携させて支払いなどの処理を行うには、最低でも6週間を要していました。B2B Commerceは、これを数時間に短縮できます。企業は、これまでにないレベルの効率性を得られるのです。リアルタイムな現金残高、銀行勘定調整、電子決済などのことが簡単にできるようになり、自動化を適用するなど、OracleとJ.P. Morganが直接協業するからこそ実現するようなサービスも提供していきます。
一例として、「Oracle J.P. Morganコーポレートカード」を発表しました。出張などの経費精算を自動化できるなど、タッチレスの経費体験を実現します。今後は融資にも拡大したいと考えています。例えば、短期的な運転資金が必要で売掛金を債権として借り入れるとします。これらに必要な情報を「SoR」(System of Record)のERPから直接得られるようにするという、野心的な計画です。
しかし、この提携は独占的なものではなく、パートナーを今後もどんどん増やしていきます。J.P. Morganを最初のパートナーに選んだ理由は、支払いや受け取りがどの企業も行う業務であり、このような統合にメリットを感じる企業が多いからです。また、既存顧客の多くがJ.P. Morganを主要な銀行にしているという背景もあります。