「エクスペリエンスマネジメント」はミッションクリティカルになったか
今回は「「エクスペリエンスマネジメント」はミッションクリティカルになったか」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏と、米MicroStrategy 社長 兼 CEOのPhong Le氏の発言を紹介する。
米Qualtricsの日本法人クアルトリクスは先頃、2023年の事業戦略とともに、同社が2022年に実施した「従業員エクスペリエンスに関する調査」の結果について記者説明会を開いた。熊代氏の冒頭の発言はその会見で、「エクスペリエンスマネジメント(XM)」の重要性について述べたものである。
会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは熊代氏の冒頭の発言に注目したい。
DX時代のキーワードの1つである「エクスペリエンス(X)」と「マネジメント(M)」を組み合わせて略した「XM」は、Qualtricsが提唱した新しいソリューション分野だ。
同社によると、XMの目的は「顧客、従業員、ユーザー、パートナー、サプライヤー、投資家など、あらゆる関係者に対して、企業や組織が提供するエクスペリエンスを向上させること」にある。
そのソリューションとしては、企業においてビジネス上で重要な「顧客」「製品」「従業員」「ブランド」といった4つのエクスペリエンスを管理し、改善するソフトウェアをSaaS型サービスで提供。顧客数は現在、グローバルで1万6000社を超えるという。
熊代氏はXMについて、「時代が大きく変化する中で、企業においてもこれまでの従業員の働き方やお客さまへの対応が変わりつつある。そうした動きに対し、企業はどうすればよいのか。その対応策を知るために、お客さまや従業員の声を聞くということが非常に重要になってきている。XMはそのためのソリューションで、今や企業でのミッションクリティカルな取り組みだと確信している」と説明した(表1)。
XMへの注目が集まりつつある中で、改めてQualtricsのこれまでの変遷について紹介しておこう。
Qualtricsは2002年に米国ユタ州プロボで創業。大学向けに開発・販売した市場調査を行うためのアンケート収集・分析ソフトウェアが、現在のソリューションに発展した格好だ。いわゆるユニコーン企業として注目されていたが、2019年1月にSAPに80億ドルで買収され、SAPのグループ企業となった。
ただ、SAP傘下ではあるが、2021年1月にはナスダック市場に上場。公開企業として幅広い利用環境での事業を展開し、2018年に始めた日本での活動も、XMの認知度向上をはじめ、サポート体制やパートナーエコシステムの強化を図ってきた。
市場調査やアンケート収集・分析を担うツールは他にも数多くあるが、DX時代を踏まえてエクスペリエンスに着目し、XMというコンセプトを打ち出して改善アクションまで含めたソリューションを体系化して磨き続けているのが、同社の魅力だろう。熊代氏が言うように、果たしてXMは本当にミッションクリティカルなソリューションなのか。個々の企業がこの問いかけを意識し、XMに取り組むきっかけになれば、それこそがDXに取り組み始めたことになるのではないか。熊代氏の説明を聞いて、そう感じた。