第1回:CPMこそDXプロジェクトが行き着く“ラストワンピース”である理由
今回は「第1回:CPMこそDXプロジェクトが行き着く“ラストワンピース”である理由」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
世界の経済環境は日々刻々と変化し、グローバルマーケット全体、ひいては日本企業にも影響を及ぼしている。新型コロナウイルス感染拡大の余波やウクライナ危機をはじめとした政治情勢不安、世界的なインフレ圧力、景気後退など、社会経済の不安定要因は2023年も継続すると予想される。今、経営者に求められる意思決定の速度と精度は、過去に類を見ないほど急激に高まっている。
言い換えると、意思決定スピードが遅く、不確実な予測しかできない企業は、厳しい戦いの舞台から降りざるを得なくなる。あらゆる物事の変化が激しい現代社会において、そのシビアさはかつての時代とは比べ物にならない。
元Cisco Systemsのトップで、現在投資家として活動するJohn Chambers氏による、残酷だがわれわれがまっすぐに受け止めるべき言葉を引用したい。同氏は米ビジネス誌「FORTUNE」が毎年発表する、全米上位500社の売上高ランキング「Fortune 500」を例に挙げて、「Fortune 500企業の40~50%がこの10年間にいなくなるだろう」との見通しを述べている。
同誌はFortune 500のほか、世界上位500社の売上高ランキング「Fortune Global 500」も発表しているが、こちらも同様だろう。国内外で圧倒的なパワーを誇る企業の半分が、わずか10年で消えると予想される世の中へとパラダイムシフトが起こっているのだ。
国内でも急激な円安をはじめとした影響が如実に表れており、フォースタートアップスが発表した「2022年世界時価総額ランキング」では、50位以内にランクインした日本企業はトヨタ自動車(31位)1社のみとなっている。
1989年のランキングでは50社中32社を日本企業が占めていたが、約30年間で世界経済における日本企業のプレゼンスは激変したことが読み取れる。今や「ものづくりの日本」の存在感は見る影もなくなっているのである。
一方、時価総額ランキングのトップ5を占めるApple、Microsoft、Alphabet(Google)、Saudi Aramco、Amazonなどの顔ぶれを見ていると、デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きの先頭を走る、先進的な企業ばかりであることが分かる。
ここまでデジタルイノベーションが進んだ現代社会で必要となるのは前述の通り、意思決定の速度と精度を高めることに他ならない。しかし、日本では「企業の意思決定に関わる生産性が低い」といった大きな課題が存在する。
「パーソル総合研究所・中原淳(2017)長時間労働に関する実態調査」によると、1万人規模の企業において、無駄な社内会議(社内打ち合わせ含む)時間は年間約67万時間(約332人分の年間労働時間に相当)、企業の損失額(無駄に費やしている人件費)は年間約15億円と算出されている。
さらに、役職が上がるにつれて社内会議の時間も増え、年間平均ではメンバー層(一般社員)で154.1時間、係長級で301.2時間、部長級で434.5時間となり、時給単価の高い人ほど無駄な社内会議に時間を費やしていることも明らかになっている。
社内会議の中でも、企業の意思決定に関わる主要な会議体の一つに経営会議がある。この経営会議で参照される「経営分析結果報告」について、次世代型経営管理クラウドを開発・提供するログラスによる「経営企画実態調査2021」のデータを引用したい。
同調査によると、約75%の企業が経営分析の結果報告までに8営業日以上(約2週間以上)かけていることが分かっている。翌月に入ってから8営業日以上を要して、前月のデータを基に経営分析・取りまとめを行っているのである。結果、経営層が経営会議でその情報に触れられるタイミングは月の半ばごろとなる。約半数の経営企画担当者が「5営業日以内に分析結果を報告したい」との思いを持ちながらも、非常にスローな動きが常態化しているのである。