福島県会津若松市、分野を超えたデータ連携で市民に寄り添ったサービスを展開

今回は「福島県会津若松市、分野を超えたデータ連携で市民に寄り添ったサービスを展開」についてご紹介します。

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 AiCTコンソーシアム(福島県会津若松市)は3月17日、会津若松市の「複数分野のデータ連携による共助型スマートシティー推進事業」において、6分野16のスマートシティーサービスが「都市OS」(スマートシティーに必要なサービスやデータなどの連携、展開の仕組み)に接続されたことを発表した。同事業は、「内閣府のデジタル田園都市国家構想推進交付金 Type3(令和4年度)」に採択されたもの。

 同コンソーシアムは、2011年に会津若松市、会津大学、アクセンチュアの産学官連携で東日本大震災からの復興に向けた取り組みをきっかけに、先進的なスマートシティーの取り組みが進み、多数の企業が同市に集積したことで2021年に設立された。現在では、オプトイン(事前承諾)によるデータ活用とパーソナライズによる市民中心のスマートシティーの実現に向け、計91の国内外における企業や団体が参画している。

 同事業では、「食・農」「決済」「移動」「ものづくり」など、12分野においてデジタルサービスの実装を進め、これらのサービスをシームレスにつなげることにより、市民生活における多様な場面での利便性向上や付加価値の創出を図るという。2022年度は都市OSを活用して、「ヘルスケア」「行政」「観光」「防災」「決済」「食・農」の6分野でデータ連携と付加価値の創出につながる市民や自治体向けのデジタルサービスを実装した。

 今回は、データ連携に伴う都市OSの機能強化を行い、「購買履歴データ」や「災害時安否情報」「ヘルスケアデータ」など、新たに17種類のデータアセットと、市の基幹系システムなど3つの外部システムが都市OSに接続された。現在は22のスマートシティーサービスが都市OSに連携している。これにより、分野を超えたデータ連携を実現し、市民一人一人にパーソナライズされたサービス提供が可能になったという。

 今回、新たに実装された食・農分野では「需給マッチングサービス」を提供。需給マッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!」を活用し、会津地域の生産者と飲食店などの実需者をマッチングさせる。これにより、生産者の販路を増やし、所得を向上させるとともに、飲食店や施設は生産者から直接仕入れをすることで新鮮な農産物を入手。地産地消が進むことで地域の活性化にもつながるとしている。

 また今後、決済分野で提供しているデジタル地域通貨「会津コイン」と連携し、現金化にかかるリードタイムゼロを目指す。さらに、「情報可視化機能」を追加し、ダッシュボード画面からユーザーの取引状況や市況価格をベースに算出した参考売買価格の表示、将来の価格予測を確認できるようにするという。

 ヘルスケア分野では、同市民のオプトインに基づき、IoTデバイスで取得した市民のバイタルデータと総合病院の一部の意思へのデータ連携を実現する「ヘルスケアパスポート」を拡充する。3月22日には、市民が普段の生活で取得したライフログ情報を医療機関に共有できる仕組みが拡充されるほか、医療機関の受診履歴もスマートフォンで閲覧できる。同コンソーシアムは、医療従事者が患者の詳細なデータを把握できることで、より適切な診察につながるとしている。

 また行政分野では、窓口に設置したタブレット端末や市民のスマートフォンなどを利用し、「ゆびなびプラス」上で転入/転出/転居とそれに伴う各種手続きのデジタル申請ができる。これにより、紙の書類に記入することなく届出や申請ができるほか、ガイダンスに従って回答するだけでスムーズに書類の作成ができる。また、3月末には対象となる手続きと取り扱い窓口を拡充し、全22部署で当該システムを本格稼働する予定だという。

 記者説明会に登壇したAiCTコンソーシアム 代表理事 兼 アクセンチュア イノベーションセンター福島 センター共同統括 海老原城一氏は、今後の方向性について、サービスや分野ごとに閉じたビジネスモデルではなく、分野を超えた連携により、利益とコストのバランスを取りながら維持・運用する継続可能なエコシステムを実現したいと説明。

 さらに、「これまで行ってきたアジャイル型の地域プラットフォームの維持や発展から、2022年度以降の取り組みでは地域の担い手である事業者の稼ぐ力を高めるためのDXや市民にとっての便利なサービスの提供を実現していきたい。2023年度もデジタル田園都市の取り組みを継続して行うことになったので、サービスや価値の創出につなげたいと思う」と話した。

 また、同じく記者説明会に登壇した会津若松市長の室井照平氏は、会津若松スマートシティーは市民による地域へのオプトインに基づくデータ提供を起点とし、地域・市民・企業にメリットや納得感がある「三方良し」の考えを軸にした地域社会を実現していきたいとコメントした。

 今後の展望としては、「市民へのさまざまなサービスの普及と改善をしていく。その上で、多くのサービスをより便利に活用してもらうため、マイナンバーカードを活用したデジタルサービスの利便性向上に取り組みたいと考えている」と説明。2月末時点の同市におけるマイナンバーカード申請率は7割を超えている。今後の取り組みでは、都市OSに接続して稼働している複数のデジタルサービスへのログインをマイナンバーカード1枚でできるようにしていくという。

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