長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOMが資金調達、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプ開発
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長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOM(ルクオム)は4月19日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。調達額は非公開としているものの、8000万円規模とみられる。引受先は、インキュベイトファンド。
2020年1月設立のLQUOMは、長距離量子暗号通信の実現に必須となる量子中継機の開発および事業化を進めるスタートアップ企業。新関和哉氏(横浜国立大学 大学院工学府)が代表取締役で、堀切智之氏(横浜国立大学大学院工学研究院准教授)がテクニカルアドバイザーに就任している。
同社はこれまで、量子中継器の実現に必要な「量子光源」「量子メモリー」「インターフェース技術」の3つの要素技術の研究、またこれらの統合技術の開発を進めてきたという。今回調達した資金は、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプの開発および人材採用に投資する。
実用化に向けて製品組み込みを目指す量子光源
量子インターネットを見据えた波長変換器
現在の暗号通信は素因数分解問題を利用しており、最先端のコンピューターを活用しても、解読に膨大な計算時間を必要とし、その膨大な解読時間が暗号通信としての安全性を保証している。
一方、昨今開発が進む量子コンピューターの計算速度は、将来的に最新コンピューターと比較して桁違いに速くなるとされ、従来の暗号通信の安全性が危険に晒されることが想定されている。IoT、自動運転、遠隔医療、金融、軍事などは高度なセキュリティーが必要不可欠であり、新たな暗号通信が求められているという。
このような背景から、量子力学に基づく量子暗号通信が複数の研究機関で研究されているそうだ。
ただ、量子暗号通信を用いると、原理的にかつ絶対に盗聴が不可能であるものの、現時点では通信距離が数十km程度にとどまっているという状況にある。本格的な社会実装に必要な数百km以上の長距離通信が実現されるまでには至っていないという。
LQUOMは、この長距離通信を実現するために必要となる量子中継器の研究・開発について、国内外の研究機関と協力して行っており、近い将来の実用化を目指すとしている。
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