「体験管理は新しいソフトウェアカテゴリー」–クアルトリクス幹部に聞く

今回は「「体験管理は新しいソフトウェアカテゴリー」–クアルトリクス幹部に聞く」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米Qualtricsは、従業員や顧客などの体験管理を提供するベンダーだ。体験が重要と言われて久しいが、さまざまな接点からデータが収集できるようになり、分析の精度も改善している。そこにAIが加わることで、体験管理はさらに進化する。同社で製品・エンジニアリング担当プレジデントを務めるBrad Anderson氏は、「新しいソフトウェアカテゴリーになる」と断言する。同氏にQualtricsの製品戦略を聞いた。

–Microsoftで幹部を務めた後にQualtricsに移籍しました。Qualtricsに入社を決めた理由を教えてください。

 Microsoftは素晴らしい会社で、17年間勤務しました。まさか辞めるとは思いもしなかったのですが、Zig(Qualtrics 最高経営責任者のZig Serafin氏。Microsoft出身)から誘いを受けた時に、Qualtricsについて調べるうちに、Qualtricsが打ち出す「エクスペリエンスマネジメント」(XM)の重要性、必要性を強く認識しました。XMは、人間と技術の交差するところであり、Qualtricsで新しいカテゴリーを築くことができると感じました。

 私は、Microsoftで「Microsoft 365」のエンジニアリングチームを率いていましたが、XMはMicrosoft 365のように、重要なソフトウェアになると確信しています。つまり、企業のさまざまな部門の従業員がMicrosoft 365や「Google Workspace」を使うように、XMを使って価値を得るべきだと考えています。

–そのXMですが、XMに取り組む重要性を感じている企業は広がっているのでしょうか。XM分野のトレンドについても教えてください。

 Qualtricsは、2017年にXMというカテゴリーを打ち出しました。XMは、リアルタイムに顧客や従業員などの体験を管理し、フィードバックを受けて適宜対応を変えていくものです。現在多くの企業がサーベイを行いフィードバックを得ていますが、これは事後の対応になります。これは体験の測定に過ぎず、管理するという点から見ると、それでは不十分です。

 AIを利用することで、リアルタイムに顧客の感情を分析し、どのように対応するのかをコーチングできます。それを簡単に実現する製品としてQualtricsは、コールセンターなど最前線で対応する人に向けた「XM for Frontlines」を発表しました。

 コールセンターのスタッフは、問題を抱えている顧客とやりとりをしなければならず、離職率は30%とも40%とも言われています。われわれが調べたところ、40%のコールセンターのスタッフが、自分たちの仕事がうまくいく環境が整っていないと回答しています。

 XM for Frontlinesは、これまでのツールを使いながら、次に取るべきアクションをリアルタイムにコーチングできます。

–感情をどのようにして理解するのでしょうか。

 AIを使って、顧客が何をやろうとしているのか、意図は何か、どのように感じているのかなどを把握しています。われわれのエンジンは、23の言語にネイティブに対応し、50以上の感情について、強さを分析しています。Qualtricsは、リサーチから生まれた企業で、現在でも研究者と心理学者を抱え、製品に反映させています。

 公開されているソーシャルネットワークやレビューサイトから、企業やブランドについて話していることを得られます。従業員についても同じで、「Slack」「Microsoft Teams」などの公開チャンネル、「Glassdoor」(従業員による企業のレビューサイト)の投稿などから情報を得られます。

 これらは全て、「エクスペリエンスID」(XiD)として、一人一人のプロフィールに蓄積されていきます。データがたまると、その人の好みなどをより正確に理解できるようになります。このように、顧客や従業員に聞くまでもなく、貴重な声を得ることができます。

–Qualtricsには、従業員向けの「EmployeeXM」、顧客向けの「CustomerXM」、ブランド向け「BrandXM」などがありますが、複数の製品を組み合わせて使うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 複数のXMを組み合わせる「クロスXM」として推奨しています。従業員の体験管理をすることで、顧客体験が改善するというケースがたくさんあります。ある銀行では、従業員体験のデータと顧客体験のデータを組み合わせ、AIエンジンを利用して、従業員体験のどこにフォーカスすれば、ネットプロモータースコア(NPS)が改善するのかを見ています。

 企業のトップは、従業員体験への投資、顧客体験への投資、ブランド体験への投資がどのように売上高と利益に影響するのかを知りたいと思っており、Qualtricsでそれを実現しています。Qualtricsの顧客は1万9000社以上あり、多くの企業が複数のXMを導入しています。

–物理とオンラインが融合する中で、体験管理はどのように進化していくのでしょうか。

 XiDを利用することで、顧客と物理的に対面している担当者がモバイルデバイスでその顧客の好みを理解するといったことができます。

 われわれは定量的な研究機能に加えて、定性的な研究機能も開発しており、動画によるフィードバック機能を発表しました。1対1のインタビューのような場面でこの機能を利用することが考えられます。

 定量と定性の両方を同一のプラットフォームで収集して洞察を得ることができるのは、Qualtricsのみです。

–今後2~3年の注力分野を教えてください。

 リアルタイムな体験管理にフォーカスし、顧客が事後の体験データを収集することから、リアルタイムに理解してアクションをとるよう支援していきます。

 顧客も従業員も期待値が高まっています。ウェブサイトに行けば、自分の好みや、やりたいことに関連あるコンテンツが表示されると期待しているし、問題があれば、企業がそれを理解して、すぐに解決してくれることを望んでいます。

 企業の多くが顧客データ基盤(CDP)を構築しています。CDPには、購入などのオペレーションデータがあり、QualtricsとCDPを統合することによって、CDPで体験データを活用することができます。Qualtricsは、先にTwilioのCDPである「Twilio Segment」とノーコードで統合できるコネクターを発表しました。SMSなどでフィードバックを取得したり、Qualtricsのサーベイを自動送信して回答をTwilio Segmentで同期したりするなどのことが実現します。

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