「うちのIT部門は…」はNG–リーダーシップを発揮できない理由
今回は「「うちのIT部門は…」はNG–リーダーシップを発揮できない理由」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ガートナージャパンのエグゼクティブ プログラム シニアアドバイザー エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏と、ディスティングイッシュトバイスプレジデント、アナリストの亦賀忠明氏による対談の3回目は、2030年以降に訪れるであろう、産業革命に匹敵する大変革時代「New world」で生き残るために企業が取り組むべきことについて議論を交わした。
長谷島:前回まで「企業と人との関係性」「旧態依然した体制の江戸時代から産業革命に匹敵する2030年以降のNew Worldに対応できる組織への転換」について議論してきました。2030年以降も生き残るため、企業・組織が取り組むべきことは何でしょうか。
亦賀:これまでのお話と重複する部分はあるかもしれませんが、今は「スーパーパワー」と呼べる10年前にはなかったようなテクノロジーがたくさん登場しています。今や、テクノロジーは人々の想像を大きく超えたスーパーパワーになっています。このことの理解を全ての日本の人は持つべきです。例えば、現在、大ブレーク中の「ChatGPT」ですが、これは、「NVIDIA A100」というAIに特化したGPUを数万台規模で使っていると見られます。これは今後「H100」というさらに高性能なGPUが使われていきます。
OpenAIにはMicrosoftが投資していますが、今後Amazon、OracleなどもこうしたGPUを数万といった単位で大量に導入していきます。ChatGPTはスーパーパワーの分かりやすい例です。今後こうしたスーパーパワーテクノロジーを駆使して、エンジニアが活躍できる機会がすごく増えていくことや、ビジネスそのものが10年以内に大きく変わっていくことを理解する必要があります。
ここで重要になるのは、マネジメントとリーダーシップの違いです。リーダーシップについて考えてみると、私は「人々を正しい方向に導く力」こそ、リーダーシップだと思います。組織にいる多くの人は、一般的に「何が正しいかが分からない」状態です。だからこそ、組織のリーダーに正しい方向性を聞きたいし、付いて行きたくなるわけです。
昨今の大変化が起こっている時代において、リーダー自身が正しい方向性を見極めるために、常にアップデートするのは必須です。
長谷島:まさにその通りだと思います。
亦賀:それを実践しないリーダーは、本当のリーダーとは言えません。日本に限らず、「マネジメントはできるけれど、リーダーがいない」という状況が見受けられます。
長谷島:この観点はすごく面白いですね。さまざまな領域・場面でリーダーシップを発揮しなければなりませんが、リーダー自身が「自分は何を知らないか」を把握することがとてもすごく重要ではないでしょうか。その上で、自分が知らないことに対して謙虚に学ぶ、理解する努力が必要ですね。それをしない人は、その領域のリーダーにはなり得ないでしょう。
亦賀:長谷島さんもご経験されていると思いますが、その大事な部分をごまかす言い回しをする人もいます。「うちの会社は違うんだよね」とか「そういう話は別にいいんだよ」と言われることがあります。
長谷島:“あるある”ですね。よく聞く別の表現としては、「うちのIT(部門)は駄目だ」というものです。
亦賀:自虐ですね。ご自身はいいとしても、メンバーが聞いたら本当にやる気が無くなってしまいますね。
長谷島:「うちのIT部門は、石器時代だ」という人に会ったことがあります。もちろん正しい根拠があり分析した上での話なら別ですが、企業や組織がいま存続しているということは、その8割以上でIT部門はうまく機能しているといって良いと考えています。そもそもIT部門が機能していなければ、企業や組織は存在できません。それでも「IT部門は駄目」という言い方を平気でしてしまうのです。