日立、生成AI専門組織を新設–社内業務やLumada事業に活用
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日立製作所(日立)は5月15日、生成AIの社内外での活用を推進する「Generative AIセンター」を同日付で新設したと発表した。同社はグループ全体で生成AIを業務利用するとともに、Lumada事業に活用するとしている。
Generative AIセンターは、生成AIの知見があるデータサイエンティストやAI研究者のほか、社内IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産などのスペシャリストが集結するCenter of Excellence(CoE)の形を取る(図1)。その背景について、デジタルエンジニアリングビジネスユニット Data & Design 本部長の吉田順氏は「生成AIを活用して社内外の業務効率を向上させたい一方、活用のリスクも回避したい。この2つを両立させるには、社内のさまざまなナレッジを掛け合わせる必要がある」と説明した。
同社はまず、社内利用環境「Generative AIアシスタントツール」を5月末から提供するとともに、業務利用ガイドラインの策定や相談窓口の設置といったリスクマネジメントを行う。その上で、社内で蓄積された知見を生かし、Lumada事業において環境構築/運用支援サービスやコンサルティングサービスを提供する。
同社は日本マイクロソフトと連携し、Generative AIアシスタントツールや環境構築/運用支援サービスに「Microsoft Azure OpenAI Service」を活用する。また、社内向け勉強会でMicrosoftの生成AIに関する最先端技術や事例を学び、社内外での取り組みに生かすとしている。吉田氏は「デファクトスタンダードとなっているMicrosoftのサービスと当社の生成AI技術を掛け合わせ、お客さまのニーズに合わせて展開していきたい」と述べた。
先述した通り、同社は社内向けに業務利用ガイドラインを策定した。ガイドラインでは、生成AIの概要や利用のリスク、サービスの利用範囲、ユースケースごとの注意点などを記載している(図2)。「生成AIの進化の流れは非常に速いため、一度ガイドラインを作って終わりというわけにはいかない。内容を継続的にアップデートするほか、書面だけでは理解しきれないこともあるため、社内向けの相談窓口も設置する」(吉田氏)
同社は現在、Azure OpenAI Serviceを活用し、業務情報が入力可能な環境を整備している。まずはGenerative AIセンターと特定部門でトライアル利用を実施して事例を作り、徐々に全社へ展開することを計画している。
日立のサービスを通して企業がOpenAIの技術を利用する意義について、吉田氏は「生成AIの業務利用は単純な話ではないと認識しており、『どのような文言を入力すべきか』『出力されたものをどのように生かすか』など考えるべきことがある」とし、「最近は『ChatGPT』などの大規模言語モデルのみで完結させるというより、さまざまなAIと組み合わせて良いものを作っていく動きが見られるため、われわれの技術も併せて提供したい」と語った。
同社は以前から、自社独自の生成AI技術をテキストや画像の生成に活用する取り組みを行っている。例えばテキスト生成では、オンライン会議の内容を要約した議事録を自動生成。「私」「僕」などの呼称を発話者の名前に変換して「重要な文」「事実を伝える客観的な文」「話者の主張」などを見つけ出し、因果関係を分析して箇条書きにする。また、人種、ジェンダー、宗教などのカテゴリーごとに攻撃的な応答を抑制するモデルを作成し、最も安全と判定された応答を出力することで、チャットボットの攻撃性を抑制しているという。
生成AI関連事業の可能性について、吉田氏は「Lumada事業では以前からAIを中心に据えているため、同事業で活用できると見ている。Lumadaのソリューションは現在200種類以上あり、事例は約1200件ある。事例を見直した時、生成AIを活用すると付加価値が生まれるものがあるのではないか。新たな事例も作れるはずなので、ポテンシャルは非常にある。例えば『コンタクトセンターで生成AIを活用したい』というニーズが社内外で挙がっており、そうした分野から事例を積み重ねて拡大させていきたい」と期待を見せた。