日本では多くの銀行がKYCへの対応に課題–Fenergo調査
今回は「日本では多くの銀行がKYCへの対応に課題–Fenergo調査」についてご紹介します。
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アイルランドのフィンテック企業Fenergoは、日本の銀行における「KYC」(Know Your Customers:取引相手を把握して不正な取引を防止するための顧客確認のこと)」に関する業務調査レポート「日本のKYC実態レポート 2023 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策における金融DXの重要性」を公開した。
これによると、約9割の回答者が、各種規制により経営の機動性と成長を制約すると考えていることが分かった。また大多数が新規法人顧客のKYCに1カ月以上費やしており、約8割は定期的なKYCのために月2001~4000件ものトリガーイベントを評価しているなどの実態が明らかになった。
この調査は2022年8月、米国、英国、シンガポール、日本など7カ国で国際業務を行う銀行の1055人の経営層を対象として、オンラインで行われた。回答者は、コンプライアンスやリスク管理を統括する立場にある。今回は日本のデータ(有効回答151件)を抽出、集計し、日本版としてまとめた。
その他の結果としては、「KYCチェック作業のうち人手が占める割合が4割超」との回答が半数を占め、事業部門とコンプライアンス部門との間で摩擦が発生する要因として、4割強がコミュニケーションとコラボレーションを挙げた。
また、KYC自動化の優先順位が最も高いプロセスとしては、顧客に直接対応するデジタルチャネルやポータルを通じたデータや文書の収集だった。
Fenergoは、今回の調査で新規取り引きと継続的な顧客のモニタリング・評価のためのプロセスや手続きに関して、日本で国際業務を行う銀行が大きな課題に直面していることが分かったと解説する。課題解決の大きな鍵は業務の自動化であるとし、日本の金融機関は、手作業や情報のサイロ化から脱却し、KYCに必要な情報を部門や国をまたいで迅速に収集・分析するための仕組み構築の重要性が高まっているとした。