国内大手SIer 8社、年率10%弱の成長を継続–2022年度は2桁成長に
今回は「国内大手SIer 8社、年率10%弱の成長を継続–2022年度は2桁成長に」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、デジタル岡目八目等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
国内大手システムインテグレーター(SIer)8社の2022年度決算が出そろった。デジタル変革(DX)の需要拡大と企業の合併買収(M&A)などで、8社合計の売上高は前期比で22%増、営業利益は同12%増と2桁成長を記録した(表1)。売上高が大きく伸びたのは、NTTデータが海外事業を展開するNTT Limitedを統合したことによる。NTTデータを除いた7社合計の売上高は9%増、営業利益は6%増だった。8社合計の売上高の伸び率は、2020年度が9.8%増、2021年度が8.6%増と10%弱を持続している。各社が開催した2022年度の決算説明会からまとめた。
NTTデータの2022年度は、売上高が前期比36.8%の3兆4901億円、営業利益は同52.8%増の2591億円だった。NTT Limitedの海外事業が2022年10月から業績に加わったことで、NTTデータの海外事業は8割増の1兆8804億円に拡大した。一方、公共と金融、法人の国内事業の売上高は7%超の増収で、他の大手SIerと同様な成長率になるが、営業利益率は7.4%とやや低い。
代表取締役社長の本間洋氏は、上流コンサルティングの強化やオフショア/ニアショアの強化、デジタル技術を活用したビジネス展開などを推進し、目標の営業利益率10%以上を達成するという。中でも、高収益のコンサルティングサービスの売上高は2021年度の3570億円から2022年度に4604億円、2023年度に4700億円を見込む。
野村総合研究所(NRI)は、2030年度に売上高1兆円以上、営業利益率20%以上などとする長期経営ビジョンの数値目標を視野に入れた。4月27日に公表した新中期経営計画(中計)は、2025年度の売上高を8100億円、営業利益を1450億円に設定。年平均成長率は、売上高が5.4%、営業利益が9.0%と、前中計実績に比べてそれぞれ約3ポイントも低いものの、このペースを維持すれば長期経営ビジョンの数値目標は達成する。
代表取締役会長 兼 社長の此本臣吾氏は「外部の評価機関から非財務の取り組みで高い評価を得た」と語り、気候変動やESG(環境、社会、企業統治)、温室効果ガス排出量の削減などの取り組みを強化するとともに、本業のコンサルティングとASP(SaaS)ビジネスの拡大を図り、さらなる生産性向上を実現させていく考えだ。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の2022年度は、売上高が前期比9.3%増の5709億円、営業利益が同7.9%減の464億円と増収減益で、営業利益率は前期の1.6ポイント減の8.1%だった。代表取締役社長の柘植一郎氏は減益の理由について「人件費の増加などによる」と説明する。5Gビジネスなど情報通信分野が伸び悩むものの、DXやクラウドへのリフト&シフトの高まりなどで、2023年度は売上高9.5%増、営業利益24.8%増を見込む。情報通信機器の納期遅延が改善し、今夏までに売上高に大きく貢献すると読む。
TISはDXの需要拡大などで、2022年度は売上高が前期比5.4%増の5084億円、営業利益が同13.9%増の623億円、営業利益率は12.3%だった。中期経営計画の売上高5000億円、営業利益率11.6%を1年前倒しで達成した。代表取締役社長の岡本安史氏は「オファリングサービスの見直しを進めるとともに、フロントラインの要であるDXコンサルタントを拡充した」とし、システムインテグレーション(SI)の前段から強化してきたという。DXコンサルトは2022年度の420人から、2023年度には500人まで増やす計画。
ただし、サービス化への事業構造転換は道半ばにある。岡本氏は「3年間取り組んできたが、構造転換は簡単なものではない」と語る。それでも、社会課題解決型サービスの売上高は2023年度に500億円を見込んでいる。
2030年度に売上高1兆円に挑むSCSKの2022年度は、売上高が前期比7.7%増の4459億円、営業利益が同8.0%増の513億円だった。代表取締役 執行役員 社長の當麻隆昭氏は「11期連続の増収増益」と自慢するが、この成長ペースでは2030年度の数値目標イメージの達成は難しいだろう。前中計では部品化や標準化によるモノづくり革新に取り組むものの、2022年度の営業利益率は2021年度と同じ11.5%にとどまる。
目標の15%以上に向けた新たな策が求められる。そこで、2023年4月にスタートした新中計では事業モデルを再構築し、収益性の高いものにシフトさせていくとする。「1人当たり営業利益を470万円から570万円以上に20%超伸ばす」と、當麻氏は高収益モデルへのシフトを推し進めるという。
BIPROGY(旧日本ユニシス)の2022年度は、DX関連案件の活況などにより売上高が前期比7.0%増の3398億円、営業利益が同8.2%増の296億円だった。代表取締役社長の平岡昭良氏は「DXへの旺盛な需要に応えるため、戦略的にシステムサービスへリソースを集中投下している」と、システムサービスの売上高を大きく伸ばしたのに対して、アウトソーシングサービスの売上高が横ばいの理由を説明する。
また、2023年度の営業利益率は9.3%を計画する。当初目標の10%に届かないのは、「新たなサ―ビス創出を加速するための研究開発投資や、優秀な人財を獲得するための費用などを織り込んだ」からだという。