HPE、「HPE GreenLake for LLM」を発表–「AIパブリッククラウド市場に参入」とネリCEO
今回は「HPE、「HPE GreenLake for LLM」を発表–「AIパブリッククラウド市場に参入」とネリCEO」についてご紹介します。
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Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間6月20~22日、ネバダ州ラスベガスで年次カンファレンス「HPE Discover 2023」を開催している。初日の20日の基調講演では、最高経営責任者(CEO)兼プレジデントのAntonio Neri氏がステージに立ち、「HPE Discover史上最大の発表」として「HPE GreenLake for Large Language Models(LLM)」を披露した。
2023のHPE Discoverは、Neri氏がCEOとして基調講演を行うのが6回目になる。Neri氏は、「CEOに就任したその日から将来のエンタープライズはエッジ中心、クラウド対応、データドリブンと主張してきた。このビジョンが戦略になり、イノベーションを生んだ。最終的にビジネスとして、あらゆる業界の顧客に成果を提供することができている」と語った。
叩き上げのCEOであるNeri氏はHPEを知り尽くしており、方向性は一貫している。経営戦略はエッジ、ハイブリッドクラウド、AIの3つの要素を持ち、イノベーションの道のりは「Journey to One(1に向けるジャーニー)」とする。つまり、中心となるのは「Edge to Cloud」プラットフォームと位置付ける「HPE GreenLake」だ。「全ての製品とサービスポートフォリオで、1つの統一されたクラウドネイティブ体験を提供する。これによりデータのパワーを解き放つ」(Neri氏)
新たにHPE GreenLakeへ加わるのが、今回発表したHPE GreenLake for LLMだ。
AIにはリスクもあるが、気候変動、病気の治療など社会における重大かつ複雑な課題の解決など、社会に良い影響をもたらすことができる。「自動化と組み合わせることで、これまでにないレベルの生産性とコスト削減の実現も可能」とNeri氏は言い、「より良い、より迅速な意思決定を支援する。そして、新しいビジネスチャンスにつながるトレンド予測も支援する」と続ける。「AIはビジネスにスーパーパワーをもたらす」(Neri氏)
HPE GreenLake for LLMは、HPEのスーパーコンピューティングプラットフォームとして「Cray XD」にアクセスでき、NVIDIAの「H100 GPU」を利用する。企業はこれを使って、非公開な形でモデルのトレーニング、チューニング、そして実装を行える。ここでHPEは、ドイツのAIスタートアップのAleph Alphaと提携し、Aleph AlphaのAI言語モデルである「Luminous」にアクセスできる。Luminousは英語、ドイツ語など5カ国語で利用できるが、日本語は含まれていない。2023年後半に米国、2024年に欧州で提供を開始する。日本を含むそれ以外の地域については、明確な計画は発表していない。
Neri氏は、AIを「われわれの人生で最も破壊的なテクノロジーになる」と述べる。「2023年はテクノロジーの歴史において転換点として記憶される」と続けた。
HPEは、この分野で2019年以降スーパーコンピューター大手のCrayを買収、2021年にはオープンソースの深層学習プラットフォームを開発するDetermined AI、2023年には再現可能な機械学習パイプラインを自動化するPachydermを買収している。「2019年以降、AI分野における自社の研究開発活動と戦略的買収に26億ドルを投じてきた」(Neri氏)
HPE GreenLake for LLMについてHPEは、これまでのパブリッククラウドのコンピュートサービスとの違いを「キャパシティ」および「ケーパビリティー」で説明する。
「パブリッククラウドは、多数のノードで数千もの異なるワークロードを同時に実行することにより、容量の使用と経済性を最大化する。これをキャパシティークラウドとすれば、AIでは1つのモデルが多数のノードで実行される。1つでもノードに支障が生じると全体を再起動しなければならない」とNeri氏。
このようなスーパーコンピューターのアーキテクチャーを「AIネイティブアーキテクチャー」とし、膨大な数のノードで高可用性を実現する「ケーパビリティークラウド」と表現している。HPEのAIパブリッククラウドは、ケーパビリティークラウドとなる。
AIにおけるHPEの戦略は、「持続可能なスーパーコンピューターのインフラをあらゆる規模の顧客に提供すること」だ。そのため、「エクサスケール」とするCrayの能力に加え、HPE GreenLake for LLMでは、「ほぼ100%再生可能エネルギーで動作」という特徴も備える。
HPE GreenLakeブランドでサービスとして提供することにより、スーパーコンピューティングを活用する障害が劇的に下がる。コンセプトの実証から本番、大規模な生成とスケールでき、ビジネス上の成果を最適化することにフォーカスできる。コンシューマー向けとは異なり、「データは企業のもの」とNeri氏は付け加えた。
「AIを戦略に組み込んだ企業とそうでない企業では、埋められないほどの差がつくことになる。その恩恵を最大化するために、HPEは自社の歴史上最も大胆な賭けをする」とNeri氏。「信頼できる強力なAIトレーニングツールを全ての人にアクセスできるようにする」と意義を強調した。