日本マイクロソフト津坂新社長はなぜ、経営コンサルタントから転身したのか
今回は「日本マイクロソフト津坂新社長はなぜ、経営コンサルタントから転身したのか」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏と、Celonis日本法人 代表取締役社長の村瀬将思氏の発言を紹介する。
日本マイクロソフトの代表取締役社長に2月1日付で就任した津坂氏に先頃、話を聞く機会を得た。冒頭の発言は、Microsoftにジョインした理由について述べたものである。
津坂氏は、1984年にBoston Consulting Group(以下、BCG)東京オフィスに入社。20年間の米ニューヨークオフィス勤務を経て、2008年より東京オフィスに在籍。ニューヨークオフィス勤務時代には、営業・マーケティング・プライシンググループを創設してグループのリーダーを務めた。東京オフィス復帰後は、BCGの最高マーケティング責任者(CMO)と経営会議メンバーを2期6年務めた。
30数年にわたってBCGで経営コンサルタントを務めてきた津坂氏が、なぜMicrosoftに転身したのか。同氏は次のように話した。
「これまでBCGで活動してきた中で、とりわけ近年では仕事の内容の多くがデジタルを活用したビジネストランスフォーメーションに関するものだった。特に日本の企業を支援していて強く感じてきたのは、デジタルをなかなかうまく活用できないことだ。そんな懸念を抱いていたところに(日本マイクロソフト社長就任の)声をかけてもらったのがきっかけになった」
「転身しようと思ったのは、これまでデジタルをはじめとしたテクノロジー企業を数多く見てきたが、やはり引き出しの多さからするとMicrosoftが一番だと感じたからだ。それと共に、Satya Nadella(サティア・ナデラ)CEOにかつてお会いした時に、経営者やエンジニアとしてはもちろん、人間的にも素晴らしい方だと。そして、その彼のリーダーシップのもとで作り直した企業カルチャーにものすごく惹かれたからだ」
このコメントの意図を踏まえて、冒頭の発言とした。経営コンサルティングとテクノロジーの話はかけ離れているようにも見えるが、「近年では仕事の内容の多くがデジタルを活用したビジネストランスフォーメーションに関するものだった」とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)がすなわち「ビジネストランスフォーメーション」であることを物語る興味深いコメントだった。
津坂氏はまた、自身の転身に伴うキーワードとして「生成AI」を挙げ、次のように語った。
「現職に就いたのと同時期に(Microsoftがいち早く注力してきた『ChatGPT』をはじめとした)生成AIが脚光を浴び始め、これまで4カ月余り、まさしく生成AIブームの中で過ごしてきた。周りの方々も『良い時にMicrosoftに入ったね』と言ってくださって。これは、私も生成AIについてはしっかりと発言していこうと思い、『生成AIは私たちの社会や生活を大きく変える可能性がある。皆さんと共に、ぜひ日本に必要なテクノロジーレボリューションを起こしていきましょう』と申し上げている」
この話を聞いているうちに、生成AIブームと津坂氏の社長就任が偶然とは思えない気もしてきた。津坂氏と話した筆者の印象を一言でいえば「自然体」。議論好きでシャープさを感じさせるが、ナチュラルに感じさせる立ち居振る舞いが一番印象的だった。
ただ、経営コンサルタントしてこれまで腕を振るってきたとしても、実際に経営の舵取りがうまくできるかどうかは未知数だ。今後の経営手腕に注目していきたい。