日立の新成長戦略–「Lumada」、GlobalLogic、Hitachi Digitalがカギに

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 日立製作所は、報道機関および投資家向けの事業戦略説明会を開催した。この中でデジタルシステム&サービス(DSS)セクターについて、「Lumada」事業の成長とそれに向けた継続的な投資の拡大、GlobalLogicの継続的な事業成長計画を明らかにし、4月に設立した「Hitachi Digital」により、日立グループ全体のLumada事業の拡大に取り組む考えなどを示した。2024年度には、DSSセクターの売上高で2兆6000億円、Adjusted EBITAで4000億円、Adjusted EBITA率で15%、Lumada事業の年平均売上成長率で22%増と1兆2000億円を目指す計画だ。

 また、これらの達成に向けて4つの重点指標を設定。GlobalLogicの売上収益を2021年度の12億8000万ドルから2024年度には28億3000万ドルに拡大。Lumadaサービス事業比率は2021年度の46%を2024年度には50%以上に、Lumada海外売上収益比率を35%から50%に拡大させる。また、日立グループ全体のLumada事業の売上収益を1兆4000億円から2兆7000億円に拡大する計画だ。

 説明に立った執行役副社長 デジタルシステム&サービス統括本部長の德永俊昭氏は、「Lumada事業の成長を示すGlobalLogicの売上収益、顧客のエンゲージメントと事業の継続性を示すLumadaサービス事業比率、Lumada事業のグローバル化を示すLumada海外売上収益比率、DSSセクターがけん引役となる全社Lumada売上収益が重要指標になる」とし、「Lumada事業は新たな成長ステージに入る。グローバルDX(デジタルトランスフォーメーション)市場全体の伸びを大きく上回り、飛躍的成長を実現する」と宣言した。

 さらに德永氏は、「2024年度までに成長性と収益性でグローバルトップクラスの事業体を目指す。DSSセクターの将来のありたい姿は社会インフラDXのグローバルリーダーになること。持続的な成長を実現していく」とした。時期は明確にしなかったが、将来の成長性では年平均成長率で10%以上、Adjusted EBITA率では20%超を目指す考えも示した。

 DSSセクターは、金融ビジネスユニット(BU)と社会BUにより、ミッションクリティカルな社会インフラを高度なITおよびデジタルシステムで実現する「フロントビジネス」、サービス&プラットフォームBUやHitachi Vantara、GlobalLogicによりDXに必要な手法と最新のデジタル技術を提供する「サービス&プラットフォーム」に加え、2022年度から日立システムズや日立ソリューションズにより各業種の顧客業務のDXをソリューションおよびサービスでサポートする「ITサービス」を取り込み、3つの事業グループで構成される。

 これらが持つデジタルの力を結集するとともに、「グリーンエナジー&モビリティセクター」や「コネクティブインダストリーズセクター」、日立Astemoと連携してLumadaを中核とした事業を展開する。顧客の業務や社会インフラのDXを推進し、サステナブルな社会の実現に貢献することを事業ビジョンに掲げている。

 DSSセクターだけでも従業員数は全世界で約10万人を誇り、約50の国や地域で事業を展開する。2021年度の売上収益は2兆1536億円、調整後営業利益は2681億円で、売上収益は日立グループ全体の20%、調整後営業利益では36%を占めている。なお、DSSセクターでの売上収益構成比は、フロントビジネスが37%、ITサービスが33%、サービス&ブラットフォームが30%だ。

 德永氏は、2021年度までの取り組みで高収益体質に進化し、成長に向けた基盤を固めてきたとする。「2018中期経営計画」では、事業ポートフォリオの変革を断行し、ロスコスト削減や生産性向上施策の徹底により、調整後営業利益率を4.2ポイント増の10.9%に高めた。「2021中期経営計画」では、GlobalLogic の獲得や新Hitachi Vantaraの発足、Lumadaアライアンスプログラムの開始など、Lumadaのグローバル成長に向けた基盤を大幅に強化した。2024中期経営計画では、これまでの成果を刈り取り、売上収益の拡大と収益性の向上を両立させ、Lumada事業の飛躍的な成長を目指す。Adjusted EBITA率では、既に国内トップ水準にあるが、2024年度にはグローバルプレーヤーに匹敵する水準を目指すとし、「国内外の顧客の課題解決パートナーとして継続的に価値を提供し、Lumada事業のサステナブルな成長を実現する」と説明した。

GlobalLogicは、2021年7月の買収完了後も順調な成長を続け、2021年度は当初計画を上回る業績を達成したとする。今後日立グループ内でのシナジーを拡大させ、継続的な事業成長と企業価値向上を目指すとしたほか、「Hitachi DigitalはグローバルLumada事業の司令塔として、グループ横断でのデジタル戦略の策定と実行をリードする。日立の強みであるOT(制御系技術)、IT、プロダクトがもたらす価値を最大化し、グループ全体のLumada事業拡大を加速させる」と德永氏は語った。

 2024中期経営計画では、キャッシュ創出力をより強化し、3年間で1兆円超のEBITDAを創出し、Lumada事業の拡大に必要なリソースやケイパビリティーを合併・買収(M&A)を含む成長投資で継続的に強化する。GlobalLogicによるボルトオン投資も想定し、地域拡大や新ドメインへの進出もサポートする。

 3年間での事業拡大の投資は、総額5000億円規模を計画。Lumadaの開発投資では2000億円規模を想定している。DSSセクターでは、2024中期経営計画で、「Lumada事業の進化による成長」「多様なマーケットアプローチによるLumada事業のスケール」「Hitachi DigitalによるグローバルLumada事業のけん引」「成長を支えるデジタル人財の強化・拡充」――4つの成長戦略を掲げた。

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