多様な現場で活躍する、パナソニック コネクトの顔認証技術

今回は「多様な現場で活躍する、パナソニック コネクトの顔認証技術」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 パナソニック コネクトは7月3日、同社の注力領域である顔認証システムに関する説明会を開催した。同説明会には、現場ソリューションカンパニー パブリックサービス本部 センシング総括部の古田邦夫氏が登壇し、同社の顔認証システムにおける強みや活用事例を紹介した。

 昨今、マイナンバーカードの普及やオンライン化の加速により、なりすましなどの問題を防ぐ手段として顔認証が注目を集めている。同社によると、顔認証の日本市場は2022年で約340億円、2030年には1269億円の規模になると見込んでいる。

 顔認証の用途として、大半は入退管理などのアクセスコントロールに利用され、次に本人確認での利用が多いという。本人確認は、サービス利用者が実在する本人であることを運転免許証やマイナンバーカードなどの公的な書類で確認する「身元確認」と、システムを利用できる登録対象人物であるかをIDやパスワード、生体認証などを用いて確認する「当人認証」を合わせたものだ。

 本人確認における顔認証は、金融や小売店舗、宿泊施設など、さまざまな場所で利用されている。実際に、パナソニック コネクトが提供する顔認証システムは幅広い業種・業界で1日30万回以上の認証が行われているという。

 例えば、空港職員の省人化に向けて羽田空港や成田空港など国内の7つの空港に「顔認証ゲート」が設置されており、日本人の出帰国手続きや外国人の出国手続きの審査をスムーズにする。また、仙台市の泉パークタウン朝日ではコンシェルジュが住民に届いた荷物を預かるサービスがある。住民が荷物を受け取る際に、顔認証を行うことで荷物の取り間違いなどを防げるとしている。

 パナソニック コネクトが顔認証システムの社会実装を拡大しているポイントとして、古田氏は「世界レベルの認証技術」「利用者に配慮したUXデザイン」「パートナー企業との共創活動」――の3つを挙げた。

 同社は、1957年にセキュリティカメラの提供を開始。これは高速道路の事故や渋滞状況の確認に利用されたが、当時は全てのカメラの映像がモニターに映し出され、目視で確認していた。しかし、全てのモニターを把握するのは困難であることから、1981年に画像センシング技術の研究開発を始めたという。

 研究開発を進める中で、1992年には映像に誰が映っているのかを見極める顔認証技術の研究開発が始まった。2008年に初めて顔認証を搭載した商品として販売したのは、デジタルカメラ「LUMIX FX40」。顔認証技術により人の顔を認識し、ピントを合わせることできれいに写真を撮れることで世間に広まったという。古田氏は「顔認証技術はAIの進化、特にディープラーニング技術により研究開発が大きく進んだ」と述べる。

 同社の顔認証技術は米国の標準技術研究所(NIST)でベンチマークのテストを受けており、2017年と2022年には認証精度で世界1位の評価を獲得した。特に2022年の評価では、顔の向きや照明の変動によるエラー率の低さは292団体の中で世界4位。加齢などの経年変化によるエラー率の低さは世界1位だった。

 顔認証は、顔を高速で検知し、目や鼻、口、あごの輪郭など顔の特徴を数値で抽出。既に登録してある顔の特徴データと照合し、0%から100%で照合スコアを検出して認証する。顔認証の精度を低下させる要因になるのは、逆光や西日、暗闇などの照明変動、マスクやサングラスの着用、顔の向きや経年変化、画像のぼけなどだという。

 パナソニック コネクトでは、どのような現場でも高精度で顔認証を利用できるよう、さまざまな現場の顔画像を撮影・分析することで人工的に膨大なパターンをAIに生成/学習させている。

 また、同社独自で、特性の異なるアーキテクチャーを融合することで、顔の向きや逆光環境でも高精度な認証を実現できるようにしているという。具体的には、本人確認における正確性が高い顔の一部分の特徴を抽出する「畳み込みニュートラルネットワーク(CNN)」と、目や鼻の位置といった全体の特徴を抽出する「Transformer」を組み合わせる。このように顔認証の精度向上を目指したことで、2022年10月時点でのエラー率は0.2%、1分間で60人の顔認証ができるようになった。

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