生成AIはデータ分析の「民主化」を加速する–アルテリックスが新展開
今回は「生成AIはデータ分析の「民主化」を加速する–アルテリックスが新展開」についてご紹介します。
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データ分析基盤を提供するAlteryxは、同社のデータ分析基盤に生成AI機能を組み込む「Alteryx AiDIN」を発表した。日本初開催のユーザーカンファレンスに合わせて来日したプラットフォーム担当バイスプレジデントのCorey Spencer氏に、生成AIに対する取り組みや今後の戦略を聞いた。
生成AIは、2022年に米OpenAIが「ChatGPT」を公開して以降、世界的なブームとなっている。データ分析領域における生成AIの意義についてSpencer氏は、「分析結果に対するユーザーの疑問に答えたり、データ分析のためのさまざまな作業からユーザーを解き放ったりといったことにより、ユーザーが真のデータ分析に集中でき、この世界に新しい価値を創造する。われわれが理念とする『データ分析の民主化』を加速させることになる」と述べる。
しかし同社は、生成AIブームが到来する以前の2019年からAIや大規模言語モデルの活用に取り組み、例えば、PDFファイルの中から自然言語解析を用いて分析に資するテキストデータを効率的に抽出したり、ユーザーがより高度な分析モデルを開発したりできるようにしてきたとする。Spencer氏は、こうした実績を踏まえて生成AIブームのさなかでも、高いプロダクトレベルでいち早くAlteryx AiDINのリリースに至ったと強調した。
Alteryx AiDINは、同社が2022年前半にリリースしたクラウドベースのデータ分析基盤「Alteryx Analytics Cloud Platform」に組み込まれる生成AIエンジンと位置づけられる。第一段階として、ノーコードによるデータの準備、ブレンディング、出力を行う「Designer Cloud」サービスでは、自然言語を使ってデータ分析のワークフローの要約やメタデータを生成できる「Workflow Summary」と、Alteryx Analytics CloudでChatGPTを使用するための「OpenAIコネクタ」、AIによる洞察を提供するビジネス分析サービスの「Alteryx Auto Insights」では、メールや「PowerPoint」などで要約を生成することにより各種ユーザー間でのインサイト共有などをさらに高度化するという「Magic Documents」の3つの機能から提供していく。
「まずはユーザーが多くの時間を費やしている単純作業や繰り返し作業の削減にフォーカスしている。これにより例えば、データサイエンティストが生成AIを活用したライブラリーを利用して分析業務に専念でき、より良い洞察を獲得していく新しいワークフローを構築できる。IT部門ではデータの流れや活用の状況をより的確に把握できるようになり、ビジネスユーザーは自然な対話からデータ分析モデルを利用できるようになっていく」(Spencer氏)
同氏は、Alteryx AiDINによって同社の多彩な機能やサービス自体が進化し、ユーザーが豊富なワークフローとデータから自身に最適化されたデータ分析の環境を実現していけるようになり、ひいてはデータアナリストやデータサイエンティストといった役割でサイロ化し属人化してしまっているデータ分析環境の問題を打破して、真のデータ分析の民主化を実現させることにつながると述べている。
Alteryxは、クラウド化とエンタープライズグレードへの対応の取り組みも足早に進める。まず2023年夏に、「Alteryx Designer」「Alteryx Server」のオンプレミス環境で構築したデータ分析のワークフローをAlteryx Analytics Cloudに展開できる「Cloud Execution for Desktop」をリリースする。同氏は、オンプレミス環境におけるユーザーの投資を保護しながらクラウド環境の拡張性や適用性のメリットを享受できると説明する。
また、Alteryx Analytics Cloudの稼働環境としてMicrosoftの「Azure」とGoogle Cloudのマルチリージョンでの利用を新たにサポートするほか、これまでのSnowflakeに加えてDatabricksとも協業を開始し、Databricksの「Unity Catalog」やSparkおよびSQLをAlteryx Analytics Cloudでサポートする。さらに、GPSなどによる位置情報をデータソースとしてサポートする。Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloudのマーケットプレイスを経由した製品購入もできるようにする。
エンタープライズグレードへの対応の強化では、Alteryx DesignerとAlteryx Serverにおいてソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)のプロセスをサポートし、リポジトリーを活用したソース管理などを可能にする。また、サードパーティー製ツールと連携したユーザーや管理者の権限、認可認証情報の管理も強化する。「ダークモード」などユーザーのリクエストが多いコミュニティー機能も追加していくという。
Spencer氏は、「こうした取り組みを通じてユーザーのクラウドジャーニー(クラウド化への道のり)をしっかりとサポートしていきたい」と述べる。他方で、クラウドの潤沢なリソースを生かしたデータ分析ソリューションが多数市場で提供され、競争は厳しい。同氏は、「ライバルは単一機能の提供が多いが、われわれはエンド―ツーエンドで提供でき、オンプレミスと組み合わせや、ユーザーの部門ごとの使い分けといった柔軟性の高さにも強みがある。そして何より、(ローコード操作のインターフェースなど)使いやすさの定評がある」と優位性をアピールする。