GAFAM出身者らが立ち上げたデータ活用企業、フライウィールが持つ強みとは
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2018年4月に設立されたフライウィールは、「データを人々のエネルギーにする」をミッションに掲げるスタートアップ企業。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)をはじめとする外資系IT企業出身のエンジニアが多数在籍し、データからデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのデータ活用基盤を提供する。
代表取締役CEOの横山直人氏は、Googleの日本法人でエンタープライズ事業の立ち上げに携わったほか、Facebookの日本法人で新規事業開発とパートナーシップ事業の執行役員を歴任。取締役CTOの波村大悟氏もGoogle日本法人でコマースの検索などを担当し、Microsoft Developmentで検索と人工知能事業の執行役員を務めてきた。
横山氏は「日本企業のデータ活用は世界に比べて遅れている」と指摘する。いまだに多くの企業が古い情報や勘・経験に基づいて意思決定を行っており、データを軸にDXを始めているが期待したような効果が得られていないのだという。また、データを使って新規事業を始めたいが、ビジネスとして伸ばせていないといった声が多くあるという。
同社が手掛けるのが、データドリブンな事業活動と意思決定の基盤となるデータ活用プラットフォーム「Conata」である。独自開発した「オントロジー技術」で企業活動をデジタル上に再現し、部門と業務の意思決定を可視化するとともに、統合データからシミュレーションを行うことで、影響度合いを評価したり、現実世界に反映させたりすることができるという。
横山氏によると、オントロジーとは「概念を整理するモノ」であり、哲学用語では「存在論」を意味し、情報科学での「概念化の明示的な仕様」と定義されているという。「コンピューターが知識を理解するために必要な概念や技術」で、領域を横断した概念の“つながり”を明らかにできるのが大きな特徴とのこと。
近年、IoTや文書などのデータが爆発的に増えている中、データをオントロジー化して整備しておけば、変更を加えても既存の連想関係で伝搬できるとし、機械学習の範囲を拡大したり、新しいデータのパターンや傾向を明らかにしたりできるようになる。また、企業内のあらゆるデータをオントロジー技術で整理することで、データ活用を爆発的に進めることも可能だとしている。
Conataは、企画・開発、在庫・配送、陳列・演出、商品リスト、POS(販売時点情報管理)などのデータを統合するデータ基盤と、レコメンド、検索、プロモーション、計測、シミュレーション、需要予測などのデータ活用のためのソリューション(同社はオファリングと呼ぶ)で構成される。「データ基盤の上にオファリングをブロックのように組み合わせて、プロダクトを提供していく。GAFAM出身者が伴走しながら、プラットフォームの機能群を活用し、小さく・早く・手戻りなくデータ価値の最大化を実現する」(横山氏)
既に幅広い業種の企業がConataを導入し、経営改革に成功している。過去にデータ活用による経営改革に試み、成功を収めきれなかった企業がConataを採用する事例もあるという。
レンタルチェーンの「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)では、需要予測による発注と個店の品ぞろえ最適化を両立し、返品率低減も実現している。書店ごとに異なる需要の把握が難しく、年間約7万タイトル発行される「新刊本」の約30%以上が売れ残り、出版社に返品されるという課題があった。
そこで、同社が保有する会員7000万人、800店舗、450万タイトル以上のデータをオントロジー技術でデジタル空間に再現することで、人工知能(AI)が売れ行きを書店ごとに予測し、適正な部数を自動発注するシステムを構築した。
これにより、直営書店での概念実証(PoC)で返品率が13%に低減。人件費を圧縮し、陳列棚などの品ぞろえを改善した。今後は、フランチャイズを含む約800店舗、取引がある1000社以上の出版社に導入予定という。