ITを基幹事業に–キヤノンMJに聞く、SAP Fieldglass導入と標準化の取り組み
今回は「ITを基幹事業に–キヤノンMJに聞く、SAP Fieldglass導入と標準化の取り組み」についてご紹介します。
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キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループは、2025年度を目標とする中期経営計画の中で、ITS(ITサービス、ITソリューション)を基幹事業の1つとして確立すべく、SAPによる基幹業務システムの刷新と業務プロセスの標準化を進めている。その第一段階の大きな取り組みが、役務調達業務における「SAP Fieldglass」の導入になる。常務執行役員 グループIT ビジネスプロセス刷新プロジェクト担当の笹部幸博氏に、システム刷新と業務標準化への取り組みを聞いた。
同社は、2025年度までの長期経営構想で「社会・お客さまの課題をICT(情報通信)と人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」の実現を掲げる。その中期経営計画における基本戦略の1つがITS事業の拡大だ。ITSを、カメラやプリンターなどの消費者向け事業、複合機やセキュリティ、業務用映像などの法人向け事業に並ぶ3つ目の基幹事業にさせたいとする。
笹部氏は、「ITSのビジネスでは、顧客の価値に貢献していくために、技術やシステムをソリューションとして提供していくが、ここでは『人』が極めて重要になると捉えており、これまでのモノ売りではない新しいビジネスモデルへの変革を進めている」と話す。
笹部氏によると、同社のビジネスを支える基幹業務システム群は、その多くを2010年代に手組みで構築し、長年運用してきたという。そのため各システムが密結合した“一枚岩”の状態になり、業務やプロセスもサイロ化、属人化していた。これでは、ITSを3つ目の基幹事業にするポートフォリオの転換においても大きな足かせとなりかねない。
基幹業務システムについては、「コンポーザブル(組み合わせ可能)」をコンセプトにした。「どんなに最新で疎結合のシステムであったとしても運用を続けていけば、いずれは必ず陳腐化し、構造も崩れていってしまう。それならなるべく崩れにくいシステムにすることが大事で、柔軟にシステムを組み合わせていけるようにしていく」(笹部氏)
基幹業務システムの刷新は、2022年度までの前中期経営計画において取り組みを表明しており、まず会計や人事などのコーポレート領域を対象として、2022年1月に会計システムを「SAP S/4HANA」へ移行した。そして、現中期経営計画で掲げるITS事業の成長と、笹部氏の言う「人が極めて重要」との観点に基づき、人材派遣や外部委託などの役務調達における業務システムとして、SAP Fieldglassを導入した。
笹部氏によれば、従来のIT領域における役務調達は、グループ各社が個別に取引先(サプライヤー)と実施しており、業務プロセスもバラバラだった。グループでIT事業を展開するキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)はシステム化していたが、キヤノンMJ自体は、ほとんどが紙ベースのアナログなプロセスだったという。
また、業務処理を平準化できないという事情もあったそうだ。例えば、人材派遣では月の締め日に勤務実績を取りまとめてサプライヤーに通知し、サプライヤー側で確認、確定して請求を行い、支払いをする。この検収業務の処理のほとんどが月末に集中する。他方で、外部委託については3カ月ごとなど一定期間での処理になる。こうした違いから、役務調達の中でも異なる業務プロセスになっていた。