「AI Alliance」は生成AIの第三勢力として存在感を発揮できるか

今回は「「AI Alliance」は生成AIの第三勢力として存在感を発揮できるか」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 IBMとMeta Platforms(旧Facebook)が発起人となり、世界の50以上の企業や大学などが設立メンバーとして参画して、オープンで信頼できるAIの開発・推進を行うことを目的としたコミュニティー「AI Alliance」が米国時間12月5日に発足。それを受けて、同14日に日本でその活動を広めようと「AI Alliance Symposium 2023」が開催された。このコミュニティーは、生成AIで先行するMicrosoft・OpenAI陣営やGoogleに対抗する勢力とも見て取れる。果たして第三勢力として存在感を発揮できるか。

 同シンポジウムではまず、日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏が挨拶に立ち、次のように話した(写真1)。

 「AIは今、大きな転換期を迎えている。これまでは専門の開発者が作り、相当程度のトレーニングを受けた人だけが使う技術だったのが、今では誰もが作り、誰もが使えるようになってきた。それによって、多くの社会課題や新しい仕事のやり方、さらには社会の在り方を変えていく可能性が広がってきている。そうした中で、これから非常に重要になってくるのは、そのAIが透明性を持って信頼できる技術でなければならないということだ。そんなAIをできるだけ多くの皆さまと実現したいという思いで、私たちはAI Allianceを発足した。社会に役立ち、未来を築くAIをともに作り上げていきたい」

 続いて基調講演として、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官の渡邊昇治氏が、AI政策の動向について話した。その中から筆者が注目した発言を記しておこう。

 「2023年はAIについて国際的なルールメイキングの年だったが、2024年以降はそれをどうやってしっかりと守っていくか、悪用や偽情報をいかに防いでいくかが重要になってくる。特に今年注目された生成AIの基盤モデルは、これから産業や企業においてパーソナライズ化されてさまざまなところで本格的に使われるようになっていくだろう。そうなると、安全性や信頼性の問題が非常に重要になり、それを実現するオープンな環境づくりを進めていく必要がある。ただ、オープンというとクローズとの二者択一の論議になりがちだが、私はこれらが対立した概念ではなく、両方を組み合わせたり、ケースバイケースで使い分けたりすればよいのではないかと考えている」

 次にAI Allianceについて、IBM シニアバイスプレジデント 兼 IBM ResearchディレクターのDario Gil(ダリオ・ギル)氏は次のように説明した。

 「オープンかクローズか二者択一でないことはとても大事だ。ただ、これから健全なAIを発展させていくためには、オープンなイノベーションを推進するエコシステムが必要だ。AIをごく少数の企業や組織がリードする形にしてはならない。ITの歴史を振り返ってみると、過去にも今と似たようなことがあった。例えば、コンピューターOSの話。オープンソースコミュニティーによってLinuxが生まれ、今ではサーバーOSとして定着し、多くのユーザーの支持を得ている。AIにおいてもオープンソースの開発力は必要になる。また、AI Allianceには世界の名だたる企業や大学が参加しており、これから実際にさまざまなプロジェクトを通じて共創活動を行っていく。これまでAIに対する社会的な議論が不十分だった。これからはその議論を建設的に進めて行動していくことが大事だ。AI Allianceがその動きをけん引していきたい」(図1)

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