第3回:MIXI 島村CFOが語る、事業会社で起こる“意思決定変革”の波

今回は「第3回:MIXI 島村CFOが語る、事業会社で起こる“意思決定変革”の波」についてご紹介します。

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 変化の激しい時代、経営層に求められるのは適切なデータに基づく迅速な意思決定だ。グローバルで見ても時価総額を上げている成長企業の多くは、データドリブン経営を取り入れている。

 連載の第3回では、MIXIで上級執行役員CFO/経営推進本部長を務める島村恒平氏を対談相手に、MIXIのこれまでの歩みや今の事業活動、意思決定の特徴などについて話を聞いた(以下敬称略。聞き手:ログラス 矢納弘貴)。

矢納:島村さんがMIXIに中途入社されたのは2016年、ゲームアプリ「モンスターストライク」(モンスト)のサービス開始から3年ほどで、大ヒットを飛ばしていたころに当たります。当時、外部から見たMIXIはどんな会社でしたか。

島村:コーポレート部門に入ったらできることがたくさんありそう、という印象でした。設立は1999年で、2003年にサービスを開始したSNS「mixi」は今も運営していますし、おっしゃる通り2016年はモンストで大成長していて、M&A(買収と合併)も積極的に仕掛けていました。ただ、サービスの急激な成長が強く働きすぎて、コーポレート部門の成長に課題があるのではないかと見ていました。

矢納:別の会社も検討していたそうですが、最終的にMIXIを選ばれたのですね。

島村:せっかくなら、やることがたくさんある会社で働きたいなと。良い意味で変革期の会社に入ると、経験をアウトプットして価値提供しやすいですし、自分自身もいろいろなことを吸収できるだろうなと思ってMIXIに決めました。

矢納:入ってみて、社内の状況や雰囲気は入社前に描いたものと比べてどうでしたか。

島村:イメージしていたのと近かったです。事業部ごとに人のタイプが全く異なり、モンストとmixiでは肉食動物と草食動物くらいの差があったのは面白かったです(笑)。良いなと思ったのはコミュニケーションコストの低さです。変なお膳立てや根回しをせずとも、基本的に誰にでも話をしやすい風通しの良さは当時からありました。そして、会社として勢いがありながらも高圧的ではなくて、熱意あるワクワクした空気が全体に充満しているような感じもありました。

矢納:会社の景気は組織の雰囲気に如実に現れるものですよね。それから7年経った今、組織としてはどんな変化があったでしょうか。

島村:mixi時代からあまり耕されていなかったコーポレートの土壌に手を入れて、会社の体制を整えてきた7年間だったと思います。一方で、“カオスさ”や“お祭り感”などある種の緩さみたいなものは、良くも悪くも失われてきたので、それについては少し思うところもあります。今や東京証券取引所のプライム市場に上場する企業ですし、ガバナンスの高度化などやむを得ない部分もあると思いつつも一定取り戻したいと思っています。

矢納:mixiは約20年、モンストも約10年とサービス開始から長い歳月が経過しています。事業の観点から見ても今と当時とでは大きな変化があると思いますが、「今のMIXIは何をしている会社なのか」と聞かれた際に、どうお答えしているのか気になりました。多様な事業をされているので難しい質問だとは思いますが。

島村:ご推察の通り、個々の事業ドメインだけを見て「ゲーム事業です」「メディア事業です」というような簡潔な表現はできません。モンストの売り上げが大きいため「モバイルゲームカンパニーです」とは言えるかもしれませんが、基本的には「成長市場においてわれわれの強みである“ユーザーのコミュニケーションを豊かにする”ことに着目した」事業を展開してきた会社、と伝えるのが適切だと思います。

矢納:MIXIにグループ入り(2019年)したプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」なども含め、新領域に対して積極的に投資をしているところも印象的です。経営会議の中でも、次はどんな市場が当たりそうか、世界ではどんなマーケットがどんな動きになっているかといった、世のトレンドの先を読むような話題が多く出そうですね。

島村:そうですね。2020年にサービス開始した、競輪やオートレースのネット投票を楽しめる「TIPSTAR」(ティップスター)を例に挙げてみます。SNSに「競馬で10万円勝った!」みたいな投稿をする人はあまりいないですよね。そこからも分かるように、日本では賭け事にダーティーで秘め事的なイメージを持つ人は少なくない。でも、ネガティブなイメージを拭い去り、皆で一緒に遊べるサービスを作れたら、MIXIが独自のポジションを取れるのではないかという仮説を立てました。日本は割と賭け事がネガティブに捉えられる国ですが、他国ではエンターテインメントとしての地位を確立しているケースもありますので。

矢納:例えばどのような例が挙げられますか。

島村:英国では競馬は昔から貴族の社交場ですよね。オーストラリアでは家族で競馬場に出かける人も少なくありません。「競馬の日」という休日があって、世界的に有名な「メルボルンカップ」は国内全体で盛り上がるほどです。

矢納:日本では考えられない文化ですね。

島村:「賭け事」に対するパーセプションチェンジ(意識や認識の変化)ができれば、市場を変え、さらに成長させていける可能性はあります。昔はゲームに対する風当たりも強かったと思いますが、今では教育に使っていることもありますし、大人も皆ゲームをしているのが当たり前で、話題の中心的なコンテンツになり得ます。「人々のコミュニケーションが発生していない(コミュニケーションペインがある状況)=商機」と仮説を立て、皆と遊べるベッティングサービスがあれば(かつてのモンストがそうであったように)、国民的な新サービスができるのではないかと考え、TIPSTARという挑戦をしています。また、「コミュニケーションが不足しているのでは?」というだけでは事業成長ができないので、市場として成長しているという観点が大事なのはいうまでもありません。「成長市場」×「顧客コミュニケーションの創造・活性化」=MIXIの事業の作り方だと思っています。

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