AI時代の到来で変わるCEOの意思決定–日本IBMが「CEOスタディ2023」日本語版を発表
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日本IBMは8月9日、世界の最高経営責任者(CEO)を対象とした調査「CEOスタディ2023」の日本語版を公開した。30カ国以上・24業種に及ぶ約3000人のCEO(日本企業のCEOは165人)を対象にインタビューを実施し、リーダーシップとビジネスに対する経営層の視点、役割と責任の変化、主要な課題と機会、テクノロジー、データ、メトリクスの活用、将来のビジョンなど、今日のCEOの意思決定に焦点を当てている。
また、昨今注目を集まる生成AIの対応に関する調査として、米国の200人のCEOを対象とした調査、および米国、英国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、インドの369人の経営層を対象とした調査も実施している。
調査によると、調査対象となったCEOのほぼ半数(世界48%、日本54%)が、組織の最優先事項として「生産性と収益性」を挙げており、2022年の6位から上昇した。また、CEOは生産性に関する目標を達成するためには「テクノロジーのモダナイゼーション(最新化)」(世界45%、日本39%)が重要であると考えていることが分かった。世界のCEOが「サイバーセキュリティとデータプライバシー」を4番目(43%)とした一方、日本のCEOでは7番目(35%)にとどまった。
今後3年間に企業に最も大きな影響を与えるとみられる外的要因としては、4年連続で「テクノロジー」(48%)がトップだった。特に日本企業のCEOは、AIが今後3年間に結果を出すために役立つテクノロジーであると期待している割合が高かった(世界52%、日本60%)。
CEO(世界42%、日本48%)にとって、サステナビリティー(持続可能性)は依然としてビジネスリーダーの最も重要な課題になっているという。CEOはサステナビリティーへの取り組みに対する責任を負っており、実際にサステナビリティーの具体的な施策と連動した報酬を受け取るCEOの割合は、2022年から3倍以上に増加し、2023年は50%を超えているという。
また、世界のCEOの70%、日本のCEOの88%は、ESG(環境・社会・企業統治)投資とデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を整合させていると回答しているが、ESGの測定方法や資対効果(ROI)の算出などに課題も残っているとのこと。
CEOが戦略的な意思決定を行うときに参考とする情報源としては、「オペレーショナルデータ」(76%)と「財務データ」(75%)を重視する傾向にあった。今後3年間で最も重要な意思決定を行う経営層(Cスイート)は誰かを尋ねたところ、CEOは、最高執行責任者(COO、世界62%、日本55%)と最高財務責任者(CFO、世界52%、日本58%)を挙げた。意思決定におけるテクノロジーリーダーの影響力は高まっており、世界のCEOの38%(前年は19%)、日本のCEOの34%が最高情報責任者(CIO)を、次いで最高技術責任者(CTO、世界30%、日本33%)が、大きな役割を果たすと指摘した。
米国のCEOの75%は、最も先進的な生成AIを導入した組織が競争優位に立つと考えており、50%のCEOが生成AIを製品やサービスにすでに組み込んでいる、43%が戦略的な意思決定に生成AIを活用している、36%が業務上の意思決定に生成AIを活用していると回答した。
米国のCEOの69%は、組織全体で生成AIの広範なメリットを見出していると回答する一方で、CEO以外の経営幹部のうち、社内に生成AIを導入するための専門知識があると回答したのは29%、また責任を持って生成AIを導入する準備ができていると回答したのは30%だった。
生成AIを導入する最大の障壁については、「データリネージュ/プロビナンス」(61%)、「データセキュリティ」(57%)、「独自データの不足」(53%)、「データの正確性とバイアス」(48%)などに懸念を示した。
米国のCEOの約43%は生成AIの導入を理由に従業員を削減または再配置した、28%は今後1年以内に予定していると回答した。また、米国のCEOの46%は生成AIの導入を理由に従業員を追加採用しており、26%は今後さらに採用する計画があるという。生成AIが自社の従業員に与える潜在的な影響を評価したことがあると回答したCEOは28%で、36%は今後1年以内に評価する予定があるとしている。
調査では、アクションガイドとして「CEOのリーダーシップ」「指標と意思決定」「人材と従業員」「テクノロジーとデータ」「エコシステムとパートナー」の5つの視点でCEOが優先して取り組むべきことを提言している。